山梨県 郷土食
山梨県
甲斐路は、人々の行き交う文化の路である。県の総面積の7割以上が山また山であるから耕地は狭く、米を主食として生きることは難しかった。しかし米のない苦しみのかげりはなく、山や川の大自然の恵みに、すすんで近づき陸稲(おかぼ)をつくり、豆、そば、とうもろこしやあわ、ひえを作った。今、伝えられている郷土料理はどれもこれも祖先たちのささやきを聞くような思いがする。「ほうとう」にしても戦後の観光ブームで息を吹き返したものではなく、米の代わりに食べた平常食であり、甲斐路の味にはあたたかさが残っている。
せいだのたまじ(せいだのたまじ)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 99kcal |
たんぱく質 | 1.9g |
脂質 | 1.7g |
カルシウム | 14mg |
鉄 | 0.4mg |
ビタミンA | 0μgRE |
ビタミンB1 | 0.04mg |
ビタミンB2 | 0.02mg |
ビタミンC | 11mg |
食物繊維 | 1.4g |
食塩 | 0.9g |
マグネシウム | 18mg |
亜鉛 | 0.2mg |
由来
江戸時代、時の甲府代官中井清太夫(なかいせいだゆう)は、幕府の許可を得て、じゃがいもの種芋を九州からとりよせ、 谷間や山裾の各村に栽培を推奨しました。そして天明・天保の飢餓から甲州を救いました。のちにこの芋は「清太夫芋」と名付けられました。
今でも龍泉寺にはほこらがあり、中井清太夫を「芋大明神」として祭り、清太夫の名をとってじゃがいもを「せいだ芋」とよんでいます。さらに小粒を「たまじ」とよび、これを油で炒め煮したものを「せいだのたまじ」といっています。
材料・分量
1 | じゃがいも(小粒) | 60g |
2 | サラダ油 | 1g |
3 | 砂糖(三温糖) | 8g |
4 | 麦みそ | 6g |
5 | 本みりん | 1g |
6 | 白ごま(いり) | 0.5g |
7 | 水 | 15g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・じゃがいも(小粒)は皮をむかずに、よく洗って水を切り、固めにゆでて(ふかして)おく。
- ・ごまはいっておく。
作り方
- 鍋にサラダ油を熱してじゃがいもを入れ炒める。
- 1に砂糖、みそ、本みりん、水を入れ、水分がなくなるまで煮る。
- 最後にいったごまをまぶす。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
②サラダ油→①じゃがいも→③砂糖④麦みそ⑤本みりん⑦水→⑥白ごま
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 701kcal |
たんぱく質 | 27.9g |
脂質 | 15.4g |
カルシウム | 288mg |
鉄 | 1.8mg |
ビタミンA | 198μgRE |
ビタミンB1 | 0.26mg |
ビタミンB2 | 0.36mg |
ビタミンC | 23mg |
食物繊維 | 5.0g |
食塩 | 2.7g |
マグネシウム | 94mg |
亜鉛 | 2.6mg |
献立例
- ・きびごはん
- ・牛乳
- ・にじますの南蛮漬け
- ・せいだのたまじ
- ・きゃべつのみそ汁
- ・りんご
放送資料
今日は、棡原(ゆずりはら)に昔から伝わる『せいだのたまじ』です。
江戸時代の食べ物がなかったときに村人を救うために、中井清太夫(なかいせいだゆう)という人が九州からじゃがいもの種を取り寄せて作り、村人を救いました。
棡原では、じゃがいものことを「せいだ」と言い、小粒のじゃがいもを「たまじ」と呼びます。
昔、食べ物が少なかった時代に、小さな、「せいだいも」も無駄にしないで食べるという生活の知恵から生まれた郷土料理の一つのようです。
作り方は簡単、お家では、皮をむかずにきれいに洗ったじゃがいもを、油でゆっくり炒めてから味をつけますが、給食では、先にじゃがいもをゆでてから味をからめるやり方で作っています。
一口メモ
「せいだのたまじ」とは、江戸時代の飢餓(ききん)の際、村人を救う食料にするため、当時の甲斐の名代官中井清太夫が、九州から種をとりよせて栽培させ、苦境をのりきった。
以来棡原地方ではじゃがいものことを「せいだ」とよび、小粒のじゃがいものことは「たまじ」と呼んで、現在でもじゃがいもの主な料理になっている。
参考資料
- ・「食と邑おこし 長寿の里 棡原探訪」 山口好昭 著
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