山梨県 郷土食

山梨県

甲斐路は、人々の行き交う文化の路である。県の総面積の7割以上が山また山であるから耕地は狭く、米を主食として生きることは難しかった。しかし米のない苦しみのかげりはなく、山や川の大自然の恵みに、すすんで近づき陸稲(おかぼ)をつくり、豆、そば、とうもろこしやあわ、ひえを作った。今、伝えられている郷土料理はどれもこれも祖先たちのささやきを聞くような思いがする。「ほうとう」にしても戦後の観光ブームで息を吹き返したものではなく、米の代わりに食べた平常食であり、甲斐路の味にはあたたかさが残っている。

地図

大塚人参めし(おおつかにんじんめし)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 272kcal
たんぱく質 6.0g
脂質 5.9g
カルシウム 36mg
1.4mg
ビタミンA 540μgRE
ビタミンB1 0.09mg
ビタミンB2 3.16mg
ビタミンC 4mg
食物繊維 3.4g
食塩 0.7g
マグネシウム 39mg
亜鉛 1.3mg

由来

市川三郷町(いちかわみさとちょう)の大塚地区の土は肥沃 (ひよく)で非常にきめ細かく、俗に「のっぷい」とよばれています。石がほとんどない火山灰土です。このためにんじんやごぼう等の根菜類の栽培に大変適しています。この地で栽培された大長人参(おおながにんじん)が『大塚人参』と呼ばれています。
明治時代より大塚村の産物となっており、最盛期には大八車(だいはちぐるま)やリヤカーに載せ近隣町村はもとより県内に幅広く行商に歩くほどだったと言われています。

材料・分量

1 精白米 65g
2 大塚にんじん(せん切り) 30g
3 ごぼう(ささがき) 15g
4 乾しいたけ(せん切り) 3g
5 油揚げ(せん切り) 3g
6 こいくちしょうゆ 1g
7 清酒 1g
8 食塩 0.5g
9 かつお節 2g
10 72g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・かつお節と水でだしを作っておく。
  • ・精白米はといでからだし汁に30分浸す。
  • ・しいたけは水でもどす。
  • ・ごぼうはあく抜きをする。
  • ・油揚げは油抜きをする。

作り方

  • しょうゆ、酒、食塩、だし汁に浸してある米の中にすべての材料を入れてかき混ぜ、炊き上げる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑨かつお節⑩水①精白米→⑥しょうゆ⑦清酒⑧食塩→②大塚にんじん④しいたけ⑤油揚げ③ごぼう

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 642kcal
たんぱく質 28.1g
脂質 16.6g
カルシウム 410mg
2.5mg
ビタミンA 891μgRE
ビタミンB1 0.64mg
ビタミンB2 4.15mg
ビタミンC 38mg
食物繊維 4.8g
食塩 3.7g
マグネシウム 99mg
亜鉛 2.9mg

献立例

  • 大塚人参めし
  • ・牛乳
  • ・ほっけの塩焼き
  • ・もやしの和え物
  • ・すまし汁
  • ・みかん

放送資料

市川三郷町の大塚地区は「のっぷい」と呼ばれる肥沃できめ細かい火山灰土で、石がほとんどありません。このため人参やごぼう等の根菜類の栽培に大変適しています。この地で栽培された大長人参(国分鮮紅大長人参)は、「大塚人参」と呼ばれ根が80㎝前後と長く、味が濃く、香りが高く、さらに甘みも強いと評判で人気があります。成分も普通の人参に比べて、ビタミンC が2.5倍、カロテンが1.5倍と高く栄養価も充分あります。今日の大塚人参めしの大塚人参は大塚小学校の児童が栽培収穫したものをいただき使いました。大変貴重な人参です。感謝していただきましょう。

一口メモ

大塚人参は明治時代より大塚村の産物となっていた。
最盛期には、大八車やリヤカーに載せ近隣町村はもとより、東郡(笛吹市・甲州市方面)、甲府市、韮崎市、西郡(鰍沢・増穂・南アルプス方面)と幅広く行商に歩くほどだったと言われている。

参考資料

  • ・明治26年板山梨県市郡村誌