山口県 郷土食
山口県
本州の最西端に位置する山口県は、三方が海に開かれています。東西に走る中国山地の山々は比較的低く、大きな平野や盆地が少ないため、棚田を利用した米作りや温暖な気候を生かしたみかん栽培などが行われてきました。アジア大陸に近い山口県では早くから稲作技術が伝わり、江戸時代には、米・塩・紙を「防長三白 (ぼうちょうさんぱく)」と呼び生産が奨励されました。また、入りくんだ長い海岸線には多くの漁港があり、古くから漁業が盛んで北浦捕鯨も栄えていました。日本海側では沖合漁業、瀬戸内海側では沿岸漁業や養殖などが行われ、特に下関のふぐは全国的にも有名です。
茶がゆ(ちゃがゆ)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 195kcal |
たんぱく質 | 3.3g |
脂質 | 0.6g |
カルシウム | 28mg |
鉄 | 0.9mg |
ビタミンA | 136μgRE |
ビタミンB1 | 0.07mg |
ビタミンB2 | 0.04mg |
ビタミンC | 13mg |
食物繊維 | 1.1g |
食塩 | 0g |
マグネシウム | 19mg |
亜鉛 | 0.6mg |
由来
周防大島(すおうおおしま)は、昔から耕地が少なく、節米は切実な問題だったといわれています。そのような暮らしの中から生まれたのが、貴重な米を少しでも増やして食べることができる茶がゆです。米が手に入りにくい土地では、茶がゆの中にさつまいもやそら豆、小麦粉でつくった だんごなどを加えて量を増やし ました。
米の風味と茶の香りに包まれた素朴な持ち味が長年愛好され、茶がゆを一日一杯食べないと力が出ないという人もあるほどです。茶がゆは「かんす」という専用の鉄の釜を用いて作っていました。
材料・分量
1 | 精白米 | 40g |
2 | さつまいも(2㎝角切り) | 40g |
3 | ほうじ茶(番茶) | 2g |
4 | 水 | 300g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・さらし木綿で作った茶袋に茶を入れておく。
作り方
- 水の中に茶袋を入れて強火にかけ、お茶を煎じ出す。
- 茶袋を取り出す。
- 煮立っている2の中に、米をとがずに入れて炊く。
- 米がやや煮えたところで、さつまいもを加えて炊く。
*米の固さは好みであるが、やや固めに仕上げる。
*ふきこぼれない程度の火加減にして、粘りを出さないようにする。
*茶は、はぶ茶など好みのものを利用するとよい。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
④水→③ほうじ茶(番茶)→①精白米→②さつまいも
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 607kcal |
たんぱく質 | 27.4g |
脂質 | 18.4g |
カルシウム | 600mg |
鉄 | 4.7mg |
ビタミンA | 686μgRE |
ビタミンB1 | 0.38mg |
ビタミンB2 | 0.55mg |
ビタミンC | 96mg |
食物繊維 | 5.7g |
食塩 | 1.9g |
マグネシウム | 122mg |
亜鉛 | 3.3mg |
献立例
- ・茶がゆ
- ・牛乳
- ・煮干し天ぷら
- ・はなっこりーのごまあえ
- ・にごみ(煮しめ)
- ・みかん
放送資料
周防(すおう)大島は、田畑が少なくお米があまりとれませんでした。そのような暮らしの中から生まれたのが、貴重なお米を少しでも増やして食べられる茶がゆです。山口県内では「茶がい」ともいい、おもに朝ごはんに食べられますが、夕ごはんに食べる地域もあります。
作り方は木綿の茶袋にお茶を入れて湯の中でよく煮出し、その中に米をとがずに入れて強火で炊きます。お米の倹約のために、さつまいもやそら豆、小麦粉で作った団子などを入れることもあります。食べ方としては、冷やごはんに熱い茶がゆをかけて食べる方法もあります。茶がゆを炊く道具として、昔から伝わるものに「かんす」と呼ばれる鉄釜があります。
今日の給食は茶がゆです。昔から集まり(よばれ)には必ず作られていた煮物で四季折々の材料で作るにごみ、それに周防大島のまわりの海でとれた煮干しで作った煮干し天ぷら、山口県オリジナル野菜はなっこりーを使ったごまあえ、周防大島の特産物であるおいしいみかんの献立です。
周防大島に古くから伝えられてきたふるさとの味や産物を使った料理、旬の食べものや地域でとれる食べ物のおいしさを味わい、次の世代にも伝えてほしいと思います。
参考資料
- ・「味のふるさと18 山口の味」 角川出版
- ・「ひまわりがつづる味の玉手箱」 大島町健康生活推進協議会
- ・「やまぐち味ばなし」 貞永美紗子 著 東洋図書出版
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