山形県 郷土食
山形県
山形県は最上(もがみ)川を中心に開かれたところです。その最上川で結ばれた県内各地を食文化の面から見てみると、北前舟(きたまえぶね)交易による京文化の名残がある庄内 (しょうない)地域、豊かな山の幸・川の幸を活かす最上地域、恵まれた自然のもと野菜や果樹が豊富な村山(むらやま)地域、上杉鷹山(うえすぎようざん)公の教えを今に伝える置賜 (おきたま)地域と、各地域の歴史、風土の違いにより特色があります。
それらの地域色は、母たちの手から手へと受け継がれ、山形ならではの奥行きの深い独自の食文化を形づくり、今なお色濃く残っています。
からかい煮 (からかいに)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 57kcal |
たんぱく質 | 7.7g |
脂質 | 0.2g |
カルシウム | 151mg |
鉄 | 0.6mg |
ビタミンA | 0μgRE |
ビタミンB1 | 0mg |
ビタミンB2 | 0mg |
ビタミンC | 0mg |
食物繊維 | 1.0g |
食塩 | 0.7g |
マグネシウム | 25mg |
亜鉛 | 0.4mg |
由来
「からかい」とは「かすべ」というエイの一種を乾燥させたものです。昔の内陸部では、新鮮な海の魚を食べることが難しく、魚といえば「塩引き(塩鮭)」か、タラを乾燥させた「ぼうだら」やこの「からかい」などの干し魚で した。時間をかけてゆっくり煮込み、しょうゆや砂糖などで味付けした「からかい煮」は、春から夏にかけてのお祭りやお盆、お正月の定番のごちそうで す。煮汁が冷めるとゼリー状の「にこごり」になり、温かいごはんにのせて食べると格別の味わいです。
材料・分量
1 | からかい(乾燥)(一口大) | 6g |
2 | 清酒 | 5g |
3 | 本みりん | 2g |
4 | こいくちしょうゆ | 2g |
5 | ざらめ(中ざら糖) | 2g |
6 | 水 | 300g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・からかいは、一口大に切り、一晩水に浸しておく。
作り方
- からかいは、ひたひたの水でやわらかくなるまで煮る。
- 調味料をいれ、落としぶたをして、味がよく染みるまで煮詰める。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
①からかい→②酒→⑤ざらめ→③みりん→④こいくちしょうゆ
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 593kcal |
たんぱく質 | 28.2g |
脂質 | 16.1g |
カルシウム | 519mg |
鉄 | 3.6mg |
ビタミンA | 500μgRE |
ビタミンB1 | 0.47mg |
ビタミンB2 | 0.55mg |
ビタミンC | 12mg |
食物繊維 | 4.0g |
食塩 | 2.4g |
マグネシウム | 97mg |
亜鉛 | 3.3mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・からかい煮
- ・にんじんの白和え
- ・親子汁
放送資料
今日はお祭りやお祝いのときに食べる郷土料理「からかい煮」です。
「からかい」というのはエイを乾燥させたもので、「かすべ」とも言います。乾燥させると長期に保存ができるので、冷蔵庫や冷凍庫のないときから食べられています。
手間のかかる料理で、まず乾燥している「からかい」の汚れを落として一日かけて水で戻します。戻したものは独特の臭みがあるので、これをお湯でゆでこぼしてから軟らかくなるまで茹でます。そうして、味付けをします。食べるまでに時間がかかるので、毎日食べる料理ではなく昔から特別な日の料理として食べられてきました。
骨まで軟らかくなり、冷めると「にこごり」ができ、煮汁まで全部食べることができます。
もうすぐ、谷地のどんが祭りです。みなさんの家の「からかい煮」は、どんな味付けでしょうか?
一口メモ
庄内では「からげ」、内陸では「からかい」と呼び方は異なるが、共にエイを乾燥させたものを指す。大きくて固いので、切る時は「押し切り」を使い、食べやすい大きさに切っている。藤沢周平の小説の一説にも、「煮るとなかなかの美味になる。」と書かれている。
参考資料
- ・「滔々と最上川今昔第10部(食べる)」 山形新聞
- ・「日本の食生活全集6 聞き書山形の食事」 「日本の食生活全集山形」編集委員会 社団法人農山漁村文化協会、1988年
- ・「味のふるさと22 山形の味」 角川書店、1978年
- ・「やまがた郷土料理探訪」 山形県グリーン・ツーリズム推進協議 株式会社大風印刷、平成11年
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