山形県 郷土食

山形県

山形県は最上(もがみ)川を中心に開かれたところです。その最上川で結ばれた県内各地を食文化の面から見てみると、北前舟(きたまえぶね)交易による京文化の名残がある庄内 (しょうない)地域、豊かな山の幸・川の幸を活かす最上地域、恵まれた自然のもと野菜や果樹が豊富な村山(むらやま)地域、上杉鷹山(うえすぎようざん)公の教えを今に伝える置賜 (おきたま)地域と、各地域の歴史、風土の違いにより特色があります。
それらの地域色は、母たちの手から手へと受け継がれ、山形ならではの奥行きの深い独自の食文化を形づくり、今なお色濃く残っています。

地図

いも煮(いもに )

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 210kcal
たんぱく質 13.0g
脂質 6.2g
カルシウム 36mg
2.3mg
ビタミンA 0μgRE
ビタミンB1 0.10mg
ビタミンB2 0.14mg
ビタミンC 4mg
食物繊維 3.4g
食塩 2.1g
マグネシウム 45mg
亜鉛 3.5mg

由来

全国的に知られるようになった、山形県のいも煮の由来は、大きく2つあります。1つは、山形県中山町が発祥の地とされている説で、最上川を往来する船荷の積み替え作業に、携わった人たちをねぎらうために、川原で里いもと干し鱈を煮たのが始まりといわれています。
もう1つは、農耕神事(のうこうしんじ)から生まれた説で、300年程前から食べられ、干し鱈、里いも、こんにゃくを煮たしょうゆ味でした。現在、長ねぎが入りますが、当時は越冬できるねぎは、もったいないということから入れることはなかったそうです。
現在は、秋になると川原でいも煮を楽しむ光景は、県内の秋の風物詩(ふうぶつし)となっています。また、地域により材料や味付けに少しずつ違いがあるのも、特徴です。海に面した庄内地域(しょうないちいき)は、豚肉にみそ味です。
古くから現在まで、材料の中身を変え、今も食べ続けられ、愛されている郷土料理です。

材料・分量

1 さといも(一口大) 70g
2 牛肩肉(4cm) 30g
3 板こんにゃく(一口大に手でちぎる) 20g
4 根深ねぎ(1㎝斜め切り) 20g
5 150g
6 清酒 2g
7 砂糖(上白糖) 2g
8 こいくちしょうゆ 8g
9 食塩 少々

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・さといもは皮をむいて、一口大に切り塩でよくもんでから水洗いして、さっとゆでる。
  • ・こんにゃくは一口大に切って、さっとゆでてざるにとり、水気をきる。

作り方

  • なべに分量の水と酒を入れ、さといも、こんにゃくを煮る。
  • さといもが6分程煮えたら、牛肩肉と残りの調味料を入れる。
  • アクをすくいながら煮る。
  • さといもがやわらかくなったら、根深ねぎを加える。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑤水⑥酒→①さといも→③こんにゃく→②牛肉→⑦⑧⑨→④ねぎ

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 697kcal
たんぱく質 27.6g
脂質 33.2g
カルシウム 352mg
3.2mg
ビタミンA 343μgRE
ビタミンB1 0.29mg
ビタミンB2 0.63mg
ビタミンC 29mg
食物繊維 6.7g
食塩 2.7g
マグネシウム 104mg
亜鉛 6.4mg

献立例

  • ・雑穀ごはん
  • ・牛乳
  • ・厚揚げのきのこあんかけ
  • ・菊入りおひたし
  • いも煮

放送資料

いも煮はみなさんがよく知っているように、山形県の郷土料理です。大きな鍋に、里芋や牛肉、こんにゃく、ねぎ、しめじなどを入れ、しょうゆ、砂糖、酒をいれ煮込み、河原で食べるものです。日本一のいも煮会では、3万人分のいも煮を作っているそうです。酒田、鶴岡の庄内地方のいも煮は、牛肉のかわりに、豚肉で、味付けはみそ味のいも煮だそうです。地方によって色々ないも煮があります。

一口メモ

いも煮に牛肉を使うのが一般化するのは、昭和に入ってからである。養蚕農家が、繭業者の経費持ちでいも煮に牛肉を使ったのが最初だと言われる。県内の村山地区、庄内地区、最上地区、置賜地区にいも煮会が伝播されていくが、その地域によって具や調味料が変化している。牛肉の代わりに豚肉だったり、しょうゆの代わりにみそだったり土地柄が表れている。山形県では、新年会、忘年会と同様に『いも煮会』は、やらなければ物足りないもの…でもある。同じ釜の飯…ならぬいも煮鍋をつつくことで、家族・職場・仲間たちと、より絆を深め合うという山形式の楽しいコミュニケーション手段、それがいも煮会である。

参考資料

  • ・「山形のうまいもの」 山形県農産物マーケティング推進協議会
  • ・「やまがた郷土料理探訪」 山形グリーン・ツーリズム推進協議会 株式会社大風印刷、平成11年