和歌山県 郷土食

和歌山県

和歌山県は県土の70%が森林の「木の国」と呼ばれ、世界遺産に登録された霊峰高野山や、熊野三山をはじめとする、豊かな自然に囲まれています。また全国一の果樹生産に代表される農業県であるとともに、長い海岸沿いに黒潮の流れを受け、水産資源も豊富にあります。このような恵まれた環境の中で、学校給食においても、旬の食材を多彩に活用し、地産地消を活発に進めるとともに、郷土の伝統を絶やさぬよう、積極的に梅干しや高野豆腐(とふの粉)、鯨肉等も献立に取り入れています。

地図

おかいさんと梅干し(おかいさんとうめぼし)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 130kcal
たんぱく質 2.2g
脂質 0.3g
カルシウム 7mg
0.4mg
ビタミンA 0μgRE
ビタミンB1 0.03mg
ビタミンB2 0.05mg
ビタミンC 0mg
食物繊維 0.3g
食塩 0.4g
マグネシウム 9mg
亜鉛 0.5mg

由来

【おかいさん】  
和歌山では稲作が中心でしたが、貴重な米を節約して食べていたといわれます。
昔は、おかいさんが常食で、こびり(朝飯と昼飯の間にとる軽い食事)や、やつ(午後三時ころの軽い食事)にもおかいさんを食べることもあ りました。朝は米だけの茶がえ(茶がゆ)、夜は豆やイモ、とうもろこしなどを加えて米の不足を補い、また豆などの味わいを楽しんだとい います。もちのある間はもち茶がえにしました。
【梅干し】      
江戸時代、紀州藩主徳川頼宣(よりのぶ)公のころの田辺藩主安藤帯刀(たてわき)が米のできないやせ地や山の斜面に「やぶ梅」という生命力の強い梅を植えさせて、年貢の軽減と農作物の育成に努めさせ、梅干しも盛んに作られるようにな りました。梅干しをこめかみに貼り頭痛を治したり、握り飯に入れたり、流行病(はやりやまい)に効くとの評判で江戸で人気が出るようになり、梅干しを食べる習慣が広がるにつれて紀州の梅干しは「田辺印(たなべじるし)」として、特に評判を呼び、田辺・南部周辺の梅干しが樽詰され、江戸へ向け田辺港から盛んに出荷されました。

材料・分量

1 精白米 35g
2 ほうじ茶 1g
3 250g
4 梅干し 10g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・精白米を洗う。
  • ・ほうじ茶をわかす

作り方

  • ほうじ茶は五分の一くらいを別にとっておく。
  • ほうじ茶が沸とうしているところに、洗った精白米を入れて、さっと混ぜてあとはあまり混ぜない。
  • 中火から強火で、15分くらいふたをしないで炊く。
  • 精白米に芯がなくなったら、火を止めさっとかきまぜて2~3分蒸らす。
  • 2で別にしておいたほうじ茶を加えてさっと混ぜる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
②ほうじ茶→①精白米②③ほうじ茶浸出液→④梅干し

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 616kcal
たんぱく質 27.6g
脂質 25.1g
カルシウム 335mg
3.0mg
ビタミンA 338μgRE
ビタミンB1 0.35mg
ビタミンB2 0.58mg
ビタミンC 24mg
食物繊維 5.2g
食塩 2.4g
マグネシウム 95mg
亜鉛 2.6mg

献立例

  • おかいさん
  • ・牛乳
  • ・くじらのたつたあげ
  • ・豚ばら肉と野菜の煮物
  • ・ごまマヨネーズあえ

放送資料

おかいさん(おかえさん)とはお粥のことです。お粥というと病気の時の食べ物を思いうかべる人もいるでしょうが、おかえさんは香ばしいお茶の風味にサラッとした口当たりで、低カロリーな上に、お茶の栄養も見直されており、健康食として注目されています。あっさりしたおかえさんに酸っぱい梅干しはよく合います。おかえさんに塩をいれずに炊いて、梅干しを少しずつ食べることで好みの味にすることができます。
病気の時におかいさんと梅干しを食べると元気になるような気がします。
今日は、くじらのたつたあげの下味に梅干しを使っています。

一口メモ

梅干しは、鎌倉時代の武家社会のもてなしを「椀飯」と呼び、クラゲ、打ちあわびなどとともにごちそうであったらしい。兵士の出陣や凱旋時に縁起物としても用いられたという。また、禅宗の僧たちは茶菓子としても用いた。明治時代、日清戦争のころ、軍医の築田多吉が戦地で伝染病にかかった兵士に梅肉エキスを与えたところ元気になったことから、梅干しの薬効を実践したといわれる。

参考資料

  • ・「日本の食生活全集」 
  • ・「なんでも雑学うなぎと梅干し」