富山県 郷土食

富山県

富山県は三方を3,000m 級の立山連峰に囲まれ、一方は日本海の富山湾に面しています。そして、中央には実り豊かな平野が広がり、たくさんの自然に恵まれています。このような地形のおかげで、富山県では海の幸も山の幸も両方味わうことができます。
「天然のいけす」と呼ばれている富山湾では、寒ブリ・白えび・ほたるいか等のキトキト(新鮮)な魚介類が水揚げされます。また富山のおいしい水で育ったコシヒカリ・富山干し柿・富山白ねぎ等も有名です。富山の食は、このような恵まれた豊富な食材を活用して育まれてきました。

地図

べっこう(べっこう)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 32kcal
たんぱく質 1.3g
脂質 0.8g
カルシウム 5mg
0.2mg
ビタミンA 12μgRE
ビタミンB1 0mg
ビタミンB2 0.04mg
ビタミンC 0mg
食物繊維 0g
食塩 0g
マグネシウム 4mg
亜鉛 0.1mg

由来

べっこうは、「ゆべす」とか「えびす」とも呼ばれています。「べっこう」とは、色や形がべっ甲の「かんざし」に似ていることから、そう名前がついたと言われています。お正月やお祭りの時に、よく昔から食べられている富山県の郷土料理です。
地域によって、べっこうの型は箱型や富士山型があって、適当な大きさに切って食べています。また、べっこうの中に入れるものは、不祝儀の時は卵のかわりに湯葉 (ゆば)をこまかくくだいて入れたり、しょうがや、3cm位に切ったゆでそうめん、味付けした刻みしいたけ、刻みくるみ、たらこなどを入れたりします。富山県内でも、それぞれ地域独自のべっこうがみられます。
また、べっこうは膳の一品として出てくることが多いですが、その膳にもいくつかのしきたりがあります。結婚などの祝い膳は赤塗りの膳、祭りなどの祝い膳には黒塗りの膳を使用するそうです。

材料・分量

1 寒天 2g
2 100g
3 こいくちしょうゆ 4g
4 本みりん(または清酒) 3g
5 砂糖(上白糖) 2.5g
6 鶏卵 8g

(鶏卵のかわりにしょうが、3cm 位に切ったゆでそうめん、味付けした刻みしいたけ、刻みくるみ、たらこなどを入れてもよい。)

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・流し型またはバットを用意しておく。
  • ・卵は割りほぐしておく。
  • ・寒天は30分前に水に浸しておく。

作り方

  • 寒天の水分をかたく絞って、細かくちぎる。
  • 鍋に水とちぎった寒天を入れ、火にかけて煮溶かす。
  • 寒天が溶けたら砂糖(上白糖)、こいくちしょうゆ、本みりん(または酒)を加える。
  • 卵を細く流し込んで加熱してから、火を止める。
  • ぬらした型に流して冷やす。
  • 固まってから、型から取り出して切る。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
②水→①寒天→⑤さとう→③しょうゆ→④みりん→⑥たまご

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 687kcal
たんぱく質 29.0g
脂質 21.1g
カルシウム 404mg
3.5mg
ビタミンA 256μgRE
ビタミンB1 0.76mg
ビタミンB2 0.61mg
ビタミンC 26mg
食物繊維 3.3g
食塩 2.9g
マグネシウム 98mg
亜鉛 3.4mg

献立例

  • ・ごはん
  • ・牛乳
  • ・鯖の竜田揚げ
  • ・煮びたし
  • ・白菜鍋
  • べっこう

放送資料

今日の献立表を見て「べっこう」ってなんだろうと思った人はいませんか?でも、給食を見て、「なんだ!これならよくお祭りに、おばあちゃんが作ってくれる“ゆべす”のことだったんだ。」と意外に思ったかもしれません。
富山県では、べっこうのことを地域によって「えびす」とか「ゆべす」と呼びます。
「べっこう」は春や秋のお祭りやお正月の時に、よく昔から食べられてきました。
寒天に、砂糖としょう油で味をつけ卵をといて入れたものです。お祭りやお正月などのおめでたい時に食べる富山県の郷土料理です。

一口メモ

富山県の郷土料理のべっこうは、寒天から作られている。寒天とは、「かんざらしところ天」のことである。寒天について、次のような由来が伝えられてる。1658年の冬、薩摩の島津候が伏見の宿に泊まられた時に、食べ残しのところ天を外に捨てられたそうである。ところ天は、寒さのために凍りつき、透明な物に変っていたそうである。これが、寒天の始まりだと言われている。
富山県では、べっこうはお祭りやお正月に欠かせない一品である。寒天の中に流した溶き卵がむら雲のように見える美しい料理である。

参考資料

  • ・「とやまの郷土料理」 北日本新聞社