東京都 郷土食
東京都
東京は、おだやかな太平洋側気候で夏は降水量が多く、冬には冷たい季節風が吹きます。都の西部は山間部で内陸部は盆地、そして東京湾沖の伊豆七島 (いずしちとう)は暖流の黒潮で冬でも暖かく漁業中心の暮らしがあります。東京都の総面積の5%に過ぎませんが特性を生かした耕地から四季折々の農産物があります。東京の食文化には歴史があります。江戸時代、東京湾の漁業が豊かだったことから あさりが多くとれることから佃煮(つくだに)が作られました。現在もあさりが東京湾の漁業の10%ですが郷土料理として深川めしを残しています。内陸部では麦を栽培しうどんや ゆでまんじゅうが郷土料理として受け継がれています。全国の食文化の集まる東京は、先人の知恵を受け継いでいます。
深川めし(ふかがわめし)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 343kcal |
たんぱく質 | 10.5g |
脂質 | 3.1g |
カルシウム | 39mg |
鉄 | 9.7mg |
ビタミンA | 107μgRE |
ビタミンB1 | 0.23mg |
ビタミンB2 | 0.04mg |
ビタミンC | 1mg |
食物繊維 | 1.7g |
食塩 | 1.53g |
マグネシウム | 16.2mg |
亜鉛 | 0.9mg |
由来
むかし深川(ふかがわ)地域(現在の東京都江東区)一帯が海であった頃、あさりがたくさんとれていました。深川はあさりの本場だったので、あさりを「深川」とも呼んだといわれています。
「深川めし」とは、そのあさりのむき身を炊き込んだごはんのことです。また、あさりのむき身とねぎをみそで煮た汁を貝とともにご はんの上からかけることもあり、一膳飯(いちぜんめし)で庶民的な食べ物とされていました。
材料・分量
1 | 精白米 | 75g |
2 | 麦 | 5g |
3 | 煮汁+水 | 96g |
4 | ごぼう(ささがき) | 10g |
5 | にんじん(千切り) | 10g |
6 | あさり(根茎)(水煮) | 25g |
7 | しょうが(根茎)(すりおろす) | 0.8g |
8 | さやえんどう | 5g |
9 | うすくちしょうゆ | 4g |
10 | 食塩 | 3g |
11 | サラダ油 | 1g |
12 | 清酒 | 2g |
13 | 砂糖(上白糖) | 1g |
14 | こいくちしょうゆ | 4g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・あさりをしょうが、清酒につけておく。
- ・さやえんどうをゆでてななめに切っておく。
作り方
- サラダ油を熱し、ごぼう、にんじんを炒める。
- あさりを加え、砂糖、こいくちしょうゆを入れて味がしみこむまで煮る。
- 具と煮汁に分ける。
- 酒、うすくちしょうゆ、塩、煮汁を入れてごはんを炊く。
- 4のごはんと3の具をさっくりと混ぜ合わせ、さやえんどうを上から散らしてしあげる。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
具→④→⑤→⑥→⑭→⑮→⑧具⑪サラダ油→④ごぼう→⑤にんじん→⑥あさり→⑬砂糖→⑭こいくちしょうゆ
ご飯①②③→⑫酒→⑩塩→⑨うすくちしょうゆ→⑧さやえんどう
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 626kcal |
たんぱく質 | 27.4g |
脂質 | 17.2g |
カルシウム | 332mg |
鉄 | 11.8mg |
ビタミンA | 555μgRE |
ビタミンB1 | 0.41mg |
ビタミンB2 | 0.49mg |
ビタミンC | 17mg |
食物繊維 | 5.2g |
食塩 | 3.5g |
マグネシウム | 83mg |
亜鉛 | 3.9mg |
献立例
- ・深川めし
- ・牛乳
- ・みそ汁
- ・ちぐさ焼き
- ・みかん
放送資料
「江戸前」という言葉を聞いたことはありますか?これは、江戸前で捕れた魚介類を使った料理のことをいいます。神田川や深川、隅田川の河口から東京湾一帯にかけて、うなぎやあなご、ハゼやあじなど、昔はいろいろな魚が捕れていました。春先には、あさりやしじみなどの貝がたくさんとれていました。これらの貝は、みそ汁の実にすることが多いですが、佃煮やぬたなどでも食べられていました。
今日の深川めしは、私たちが住んでいる江東区深川の郷土料理です。深川は、昔、漁師町として発達したところです。アサリが特に多くとれていたことから、漁師たちは、そのアサリのむき身を煮て、どんぶりにしてよく食べていたそうです。
一口メモ
あさりは、砂浜で貝を「漁(あさ)る」ようにとったことがその名前の由来で、日本で一番多く食べられている貝である。春の彼岸から5月にかけて、水がぬるむとうまみたっぷりに身が肥えておいしくなり、大潮の頃は絶好の潮干狩り日和となる。冬から春先にかけては輸入物が主体となるが、海苔漁の終わり、春になれば「江戸前」の出番、木更津・船橋など東京湾ものに切り替わる。
ビタミンB 群、鉄、カルシウムの他、鶏卵と同じくらいのたんぱく質が含まれ、骨を丈夫にし、貧血予防や口内炎等粘膜の病気などに効果がある。
参考資料
- ・「たべもの歳時記」 東京農林統計協会発行
- ・伝承写真館日本の食文化「首都圏」 農文協編
東京都