徳島県 郷土食
徳島県
徳島県は、古くから京阪神地方との交流が盛んでした。徳川時代、藍、塩、砂糖、紙、木材などの特産物の商売を活発に行なっていました。
藍商人は、年に数回、全国各地に設置された藍の売り場と、徳島の間を往来し、貨幣(かへい)のみでなく、各地の文化ももたらしました。徳島の水田地帯は塩被害や台風による被害が多く、米の県内自給はできなかったため、藍を売ったお金で、米を購入していました。そのため、 ハレ食で米を食べられる喜びは、米作中心の他県では考えられないほど強いものがありました。
そば米雑炊(そばごめぞうすい)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 165kcal |
たんぱく質 | 10.5g |
脂質 | 1.4g |
カルシウム | 16mg |
鉄 | 0.6mg |
ビタミンA | 85μgRE |
ビタミンB1 | 0.18mg |
ビタミンB2 | 0.10mg |
ビタミンC | 3mg |
食物繊維 | 2.0g |
食塩 | 1.7g |
マグネシウム | 61mg |
亜鉛 | 0.6mg |
由来
そば米雑炊は、 もともとは、源平の合戦に敗れた平家が身をひそめたといわれる祖谷(いや)地方が発祥の地です。祖谷地方は、急斜面が多いため稲を作ることができず、あわやひえを主食にしていました。平家の落人 (おちうど)たちは原生林を切り開き、焼き畑耕作を行い、栽培期間が短いそばを作り、雑炊やだんご、そば切りにして主食の代用としました。そば米とは、そばの実を塩ゆでして、からを取り、乾燥させたものです。
米の代わりにそのそば米を使った雑炊を落人たちが都をしのんで正月料理に作ったのが始まりといわれています。日常の食べ物として野菜や山菜といっしょに煮たものがふつうで、山鳥を入れたものはとびきりのごちそうでした。その後、そば米をすまし 汁に入れる風習は、県下全体に広がり、さらに珍しい郷土料理として全国に知られる徳島の味となりました。
材料・分量
1 | 鶏もも肉(小間切れ) | 25g |
2 | にんじん(2㎜たんざく切り) | 10g |
3 | だいこん(3㎜たんざく切り) | 10g |
4 | 乾しいたけ(3㎜せん切り) | 1g |
5 | 焼き竹輪(2㎜うす切り) | 10g |
6 | そば米 | 30g |
7 | みつば (くき1㎝切葉はあらみじん切り) | 5g |
8 | だし汁 (だし汁+乾しいたけのもどし汁) とりがら 昆布 かつお節 |
150g 30g 0.5g 2g |
9 | うすくちしょうゆ | 6g |
10 | 清酒 | 5g |
11 | 食塩 | 0.5g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・とりがらでだしをとる
- ・こんぶとかつお節でだしをとる。
- ・乾しいたけは洗って水でもどし、もどし汁はだし汁として使う。
※とりがらのだし、こんぶとかつお節のだし、乾しいたけのもどし汁を合わせて、だし汁とする。 - ・そば米はよくあらい、水からやわらかくなるまでゆで、きれいにあらってざるにあげ、水気を切る。
作り方
- 煮たてただし汁に調味料を入れ、鶏もも肉、にんじん、だいこん、もどしたしいたけを加える。
- あくをていねいにとりながら煮る。
- 材料に火がとおったら、竹輪とゆでておいたそば米を加えてさらに煮る。
- 最後にみつばを入れる。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑧だし汁→⑨⑩⑪→①鶏肉②にんじん③だいこん④しいたけ→⑤竹輪⑥そば菜→⑦みつば
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 665kcal |
たんぱく質 | 29.5g |
脂質 | 18.4g |
カルシウム | 412mg |
鉄 | 3.5mg |
ビタミンA | 410μgRE |
ビタミンB1 | 0.68mg |
ビタミンB2 | 0.59mg |
ビタミンC | 64mg |
食物繊維 | 5.8g |
食塩 | 2.8g |
マグネシウム | 112mg |
亜鉛 | 2.7mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・さけの塩焼き
- ・小松菜としめじの ごまあえ
- ・そば米汁
- ・みかん
放送資料
そば米汁は三好市祖谷(いや)地方の郷土料理「そば米雑炊」をもとにした料理で、そば米の量を少なくしてご飯のおかずに合うようにしたものです。祖谷地方は、標高千数百メートルの山々に囲まれているため、昼と夜の温度差がはげしく、土地がやせているので、昔からそばが多く作られてきました。そばは、やせた土地でとれたもの方が小粒で身がしまっていて味が良いそうです。
そば米汁に入っているそば米は、そばの実を塩ゆでにしてからをとり、乾燥させたものです。そばを粉にしないで実のまま食べるのは全国的にも珍しいそうです。
今日の給食に使われている「そば米」は三好市の祖谷で作られたもので、とり肉は徳島県特産の「阿波尾鶏」を使いました。だいこんとにんじん、干ししいたけも加えています。
地元の食材をたくさん使った郷土がほこる味「そば米汁」は、心も体も温めてくれます。
一口メモ
昔、祖谷地方では、そば米は野菜といっしょに煮て、主食の役割を果たしており、雑穀だんごやいも類に比べて上等のものであった。さといもや野菜とともにそば米を煮込んだものを「ホウハン」といい、これも祖谷地方のごちそうである。
参考資料
- ・「ふるさとの味」 鈴木研菜 著
- ・ 「とくしま味の四季」 徳島新聞社
- ・阿波徳島食文化史年表 西東秋男 著
- ・東祖谷山村史 東祖谷山村史編集委員会
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