栃木県 郷土食

栃木県

栃木県は関東地方北部に位置する内陸県で、県都宇都宮市は東京から90km の所にあります。県内には世界に誇る日光国立公園のほか、豊かな地域特性を持つ8つの県立の自然公園があり、首都に近い県でありながら美しい自然がたくさん残されています。
日光輪王寺(りんのうじ)の強飯式(ごうはんしき)は全国に知られた栃木の行事ですが、他にも山を敬い、川を畏(おそ)れる心は、今でも数多くの習俗や行事が、折々の食とともに県内各地で引き継がれています。
生産量日本一のニラをはじめ、甘いいちご「とちおとめ」など栃木県はおいしい食べ物がたくさんあります。

地図

しもつかれ(しもつかれ)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 161kcal
たんぱく質 13.3g
脂質 6.0g
カルシウム 78mg
1.5mg
ビタミンA 155μgRE
ビタミンB1 0.09mg
ビタミンB2 0.13mg
ビタミンC 13mg
食物繊維 2.8g
食塩 0.5g
マグネシウム 36mg
亜鉛 1.2mg

由来

2月の初午(はつうま)の日に「わらつと」に入れて、赤飯といっしょに稲荷(いなり)神社に供えられる行事食です。名前の語源も下野(しもつけ)ばかり説(栃木県だけで作る料理、下野の家例 (かれい)として作る料理)、酢むつかり説(酢の入った料理)などがあります。竹の歯が鬼の歯を連想させることから「鬼おろし」と呼ばれている道具でおろした、だいこん、にんじんと、正月の塩 ざけの頭、節分の豆等を煮込 みます。鬼おろしを使うと、程良い粗さで水っぽくおろせるため素材本来の旨みを逃がさないでおろせます。しもつかれは、正月や節分の残りの食材を使った保存食として、また破魔招福 (はましょうふく)の祈りの込められた料理です。
また、「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」と言われ、隣近所の人と分け合って食べることも多い 料理です。

材料・分量

1 塩ざけの頭(2㎝角切り) 30g
2 穀物酢 2g
3 80g
4 だいこん(鬼おろしでおろす) 100g
5 にんじん(鬼おろしでおろす) 20g
6 いり大豆 5g
7 油揚げ(縦半分6㎜千切り) 10g
8 酒粕 15g
9 こいくちしょうゆ 適量
10 食塩 適量

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・塩ざけの頭を1回ゆでこぼして臭みをとる。
  • ・酒かすを溶けやすいように小さくちぎる。

作り方

  • 厚手のなべに塩ざけの頭と水、酢を入れ、沸騰したら弱火にし、アクを取りながらよく煮溶けるまで3時間位煮る。
  • 1にだいこん、にんじん、いり大豆を加えてさらに1時間30分位煮る。
  • 油揚げ、酒かすを入れて、こいくちしょうゆ、塩で味を整える。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
①塩ざけ→②酢→③水→④だいこん⑤にんじん⑥いり大豆→⑦油揚げ⑧酒かす→⑨⑩
◆ 塩ざけの塩味により、加えるしょうゆ、塩は加減する。
◆ 塩ざけの頭は焼いて使用してもよい。
◆ 好みで砂糖を加えてもよい。 

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 641kcal
たんぱく質 32.0g
脂質 15.7g
カルシウム 326mg
2.8mg
ビタミンA 288μgRE
ビタミンB1 0.95mg
ビタミンB2 0.63mg
ビタミンC 49mg
食物繊維 3.8g
食塩 2.6g
マグネシウム 70mg
亜鉛 1.6mg

献立例

  • ・赤飯
  • ・牛乳
  • ・豚肉のみそづけ焼き
  • ・おひたし
  • しもつかれ
  • ・みかん

放送資料

2月の初午の日にしもつかれを作り、その年の新しいわらつと(わら製の納豆の入れ物)にしもつかれと赤飯を入れ、稲荷神社に供える行事食です。
材料は塩鮭の頭、だいこん、にんじん、油揚げ、節分の残り豆、酒かすなどで、味付けは家によってさまざまで、それぞれの家に昔から受け継がれてきた家庭の味があります。しもつかれのだいこん、にんじんをおろすのに「鬼おろし」は欠かせない道具です。これは、竹製の目の粗いおろし器で、竹の歯が鬼の歯を連想させることから「鬼おろし」と呼ばれています。
「しもつかれ」という呼び名は、下野の国の食べ物ということからつけられたとか、酢が入った食べ物の「すむつかり」がもとの名などといわれています。「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」などの言い伝えがあり、隣近所の人と分け合う風習があります。食料が乏しかった時代に庶民が生み出した「知恵の結集」で、優れた栄養価の高い郷土料理です。

一口メモ

しもつかれを分け合って食べることは、農作業や冠婚葬祭などすべての面で助け合わなければならなかった農家において、家と家の結びつきを強めるものだった。

参考資料

  • ・「栃木ふるさとの味四季の味」 下野新聞社