大分県 郷土食
大分県
大分県は温暖な気候と豊かな自然に囲まれており、遠浅の豊前海から、リアス式海岸の豊後水道まで変化に富んだ地形を生かして、各海域で特徴ある漁業や養殖業が営まれています。一方、内陸山間部では起伏の多い地域の中で米を基盤に野菜や果樹、しいたけの栽培、肉用牛などの畜産も行われています。古くから「豊の国」の名のとおり、また小藩分立という歴史的な背景から、それぞれの地域で特色のある海の幸、山の幸を利用し、家庭や地域の素朴な味として育まれてきた郷土料理が数多く伝えられています。
黄飯とかやく(おうはんとかやく)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 419kcal |
たんぱく質 | 18.3g |
脂質 | 6.0g |
カルシウム | 125mg |
鉄 | 1.5mg |
ビタミンA | 286μgRE |
ビタミンB1 | 0.43mg |
ビタミンB2 | 0.13mg |
ビタミンC | 10mg |
食物繊維 | 3.1g |
食塩 | 1.6g |
マグネシウム | 54mg |
亜鉛 | 1.7mg |
由来
黄色いごはん「黄飯」は、安土桃山のころ、キリシタン大名の大友宗麟が、キリスト教の宣教師に教えて もらったという説があります。また、臼杵藩(うすきはん)藩主、稲葉公(いなばこう)が快気祝の時に、 現在赤飯を配るのと同じ意味で用いられたという説や参勤交代の途中、家来へのねぎらいのごちそうとして 出されたものが始まりという説もあります。「黄飯」は、サフランのめしべで黄色く色をつけた代表的な料理 「パエリア」が伝わって、臼杵の山野に自生するくちなしにかわったのではないかといわれてい ます。
「かやく」は、多忙な商家が、大晦日に大量にかやくを煮て、温めなおしては、食べたといわれてい ます。 煮なおすほどおいしくなり、庶民の生活の知恵から生み出された料理といえます。
材料・分量
1 | 精白米 | 80g |
2 | 水 | 96g |
3 | くちなしの実 | 0.2g |
4 | えそ(魚のすり身) | 45g |
5 | だいこん(0.5cm 拍子切り) | 50g |
6 | 乾しいたけ(せん切り) | 0.4g |
7 | ごぼう(ささがき) | 18g |
8 | にんじん(短冊切り) | 18g |
9 | 油揚げ(せん切り) | 4g |
10 | 葉ねぎ(小口切り) | 5g |
11 | 木綿豆腐(つぶす) | 35g |
12 | サラダ油 | 2g |
13 | こいくちしょうゆ | 7g |
14 | 食塩 | 0.4g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・くちなしの実を洗って、水につけておき黄色い水を作っておく。
- ・乾しいたけは、洗って水でもどしておく。
- ・油揚げは、油抜きをしておく。
作り方
- くちなしの実の黄色い水で、ごはんを炊く。
- 鍋にサラダ油を熱し、えそ(魚のすり身)、ごぼう、木綿豆腐、もどししいたけ、油揚げの順に炒める。
- 材料にある程度火が通ったら、だいこん、にんじんを加え、野菜からの水分が足りないときは、水を足し、野菜に火が通るまで煮る。
- 煮えたら、調味料を入れ、味をととのえる。
- 最後に葉ねぎを入れる。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
黄飯 ①精白米②③くちなしの実の水
かやく⑫→④→⑦→⑪→⑥→⑨→⑧→⑬⑭→⑩
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 652kcal |
たんぱく質 | 29.5g |
脂質 | 15.6g |
カルシウム | 451mg |
鉄 | 2.6mg |
ビタミンA | 858μgRE |
ビタミンB1 | 0.65mg |
ビタミンB2 | 0.53mg |
ビタミンC | 51mg |
食物繊維 | 6.0g |
食塩 | 3.0g |
マグネシウム | 116mg |
亜鉛 | 3.1mg |
献立例
- ・黄飯とかやく
- ・牛乳
- ・白菜のおひたし
- ・みかん
放送資料
今日は、臼杵(うすき)市の郷土料理「黄飯(おうはん)とかやく」を作りました。
「黄飯」は、くちなしの実を水につけてできた黄色い水で米を炊いたもので、お祝いの時の「赤飯」のかわりに食べたといわれています。「かやく」は、「えそ」という魚と豆腐や油揚げとだいこんやにんじん、ごぼう、干しいたけ、ねぎなどのたっぷりの野菜でつくった栄養のバランスのよいおかずです。江戸時代、参勤交代の途中で家来へのねぎらいのごちそうとして出されたものがはじまりという説などがあります。
その後、庶民の間に広まり、大晦日に大量に作って、お正月中、温めなおしては、食べたといわれています。「黄飯」の上に「かやく」をかけて食べます。
一口メモ
臼杵地方では、赤飯のかわりに、「くちなしの実」を使って、黄色いごはん「黄飯」を作っていた。そして、その副食として「かやく」という料理を作った。くちなしを使ったのは、色が美しいだけでなく毒下しとか虫下し等の意味があったようだ。
また、「黄飯」と「かやく」は、一対の料理で「黄飯」の上に「かやく」をのせて食べるのが本来の食べ方だったが、今では、「黄飯」という名前だけが残り、「かやく」のことを「おうはん」と呼ぶことが多くなっている。
参考資料
- ・おくむらあやおふるさとの伝承料理〔1〕パクパクいろいろごはん
大分県