奈良県 郷土食

奈良県

奈良は古くは「大和の国」と呼ばれ、古代より文化の中心地として発展してきました。
内陸県である奈良では、日常のおかずは野菜が中心で、肉や魚にかわるものとして、大豆や大豆製品がよく用いられてきました。
奈良県の伝統野菜としては、大和まな、宇陀(うだ)金ごぼう、大和いも、ひもとうがらしなどがあげられます。生産量が少ないので、集団給食に取り入れにくい面はありますが、子どもたちに少しでも奈良県産の野菜を食べてもらおうと、各市町村で工夫して取り入れています。
奈良の食べ物としては、「茶がゆ」、「柿の葉寿司」、「三輪そうめん」などがあります。どれも、昔の人の知恵が生み出した料理で、次代を担う子どもたちに伝えていきたい料理といえます。

地図

阿騎野の葛もち(あきののくずもち)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 43kcal
たんぱく質 1.1g
脂質 0.7g
カルシウム 9mg
0.4mg
ビタミンA 0μgRE
ビタミンB1 0.02mg
ビタミンB2 0.01mg
ビタミンC 0mg
食物繊維 0.1g
食塩 0.01g
マグネシウム 8mg
亜鉛 0.1mg

由来

葛もちは贅沢(ぜいたく)にも本葛(くず)を原材料として使っています。本葛ならではの舌触りやのど こしは食べて見ないとわからない食感になっています。
本葛は、大和連山の山奥に自生する葛の根を掘り起こし、葛根をくだいて、寒の地下水のみで何度も不純物を精製(吉野 さらし)して、自然乾燥させた、添加物を一切含まない自然食品です。
葛は「葛根湯(かっこんとう)」という薬もありますが滋養が高く、またお料理では奈良県吉野地方のくず粉が最高級とされることから、くず粉を使った料理に「吉野何々」の名が付けられます。大宇陀 (おおうだ)の別名をつけて「阿騎野の葛もち」となりました。

材料・分量

1 くずでん粉 4.2g
2 12g
3 粉寒天 0.45g
4 30g
5 きな粉 3.2g
6 砂糖(上白糖) 3.7g
7 食塩 0.01g

作り方

  • 粉寒天と水を合わせて、約5分おき、火にかけて煮とかす。
  • くず粉と水を混ぜて1に加え、十分練って、透明になったら流し箱に入れて冷やし固める。
  • ちぎり分けて、砂糖と塩を混ぜたきな粉をかける。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
③粉寒天→④水→①くずでん粉→②水→⑤きなこ⑥砂糖→⑦食塩

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 659kcal
たんぱく質 27.2g
脂質 15g
カルシウム 357mg
2.9mg
ビタミンA 230μgRE
ビタミンB1 0.47mg
ビタミンB2 0.47mg
ビタミンC 19mg
食物繊維 4g
食塩 2.4g
マグネシウム 97mg
亜鉛 3mg

献立例

  • ・ごはん
  • ・牛乳
  • ・赤魚の照焼き
  • ・白菜のおかかあえ
  • ・奈良のっぺ
  • 阿騎野の葛もち

放送資料

阿騎野の葛もちは、大宇陀(おおうだ)の吉野葛を使っています。吉野葛は別名なんと呼ばれているでしょう。
1.白いダイヤ2.わらび粉3.かたくり粉
答えは「1.白いダイヤ」です。高価なことから白いダイヤと呼ばれています。葛粉は澱粉の中でも最も粒子が細かいため、下痢や風邪など、体調を崩した時でも、体に吸収されやすく、また温め癒す効果もあります。滑らかな食感が特徴
で、あわせて腰、粘り、透明感が優れているため、涼感を誘う夏の和菓子、また日本料理等、幅広く使われています。大宇陀はきれいな地下水が豊富に出ます。また冬の冷えこみが大変厳しく、その時期に製造の最盛期を迎えます。

一口メモ

大和連山の山奥に自生する葛の根を掘り起こし、繊維を砕いて取り出したデンプンをまる二日間晒し、あくの出た水を捨てつつ、沈殿したデンプンを集めて、さらに冷たい井戸水で晒す。これを寒晒しといい、数回繰り返したあとで、寒さと風にさらして風干しにする。その結果1kg の葛の根から葛粉は100g ほどしかできないそうである。正真正銘の葛粉(極寒晒し)は、固まりがとても堅くてブロックの角もしっかりしている。