奈良県 郷土食

奈良県

奈良は古くは「大和の国」と呼ばれ、古代より文化の中心地として発展してきました。
内陸県である奈良では、日常のおかずは野菜が中心で、肉や魚にかわるものとして、大豆や大豆製品がよく用いられてきました。
奈良県の伝統野菜としては、大和まな、宇陀(うだ)金ごぼう、大和いも、ひもとうがらしなどがあげられます。生産量が少ないので、集団給食に取り入れにくい面はありますが、子どもたちに少しでも奈良県産の野菜を食べてもらおうと、各市町村で工夫して取り入れています。
奈良の食べ物としては、「茶がゆ」、「柿の葉寿司」、「三輪そうめん」などがあります。どれも、昔の人の知恵が生み出した料理で、次代を担う子どもたちに伝えていきたい料理といえます。

地図

権座(ごんざ)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 43kcal
たんぱく質 2.2g
脂質 1.2g
カルシウム 61mg
0.6mg
ビタミンA 41μgRE
ビタミンB1 0.02mg
ビタミンB2 0mg
ビタミンC 3mg
食物繊維 1.2g
食塩 0.4g
マグネシウム 19mg
亜鉛 0.2mg

由来

ごった煮がなまって「ごんざ」になったといわれていますが、「権座」つまり秋祭りに氏神さまと共にいただくという意味ともいわれてい ます。
秋祭りに供えるおかずを普通(ごんざ)のおかずと呼び、つきだしのおかず(酒のさかな)とわけて呼んでい ました。
どろいも・大根・ごぼう・こんにゃく・いりがら(くじらの皮つき脂身、コロとも呼ぶ)をだしじゃこのだし汁で煮る「ごちゃ炊き」という料理があり、これが「ごんざ」のなごりともいわれてい ます。

材料・分量

1 だいこん(大きめの乱切り) 20g
2 さといも(半分に切る) 10g
3 にんじん(小さめの乱切り) 6g
4 厚揚げ(三角切り) 10g
5 板こんにゃく(拍子切り) 8g
6 こんぶ 0.6g
7 煮干し 1g
8 本みりん 3.6g
9 こいくちしょうゆ 2.7g
10 砂糖(三温糖) 0.3g
11 10g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・煮干しは腹わたをとり、だし袋に入れておくと後で取り出しやすい。

作り方

  • 鍋に、こんにゃく、だいこん、にんじん、さといも、厚揚げを順に入 れて、かぶるくらいの水とこんぶ、袋に入れた煮干し、調味料を入 れ、火にかける。
  • 煮立ったら弱火にして、2時間位煮込む。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑤こんにゃく→①だいこん→③にんじん→②さといも→④厚揚げ→
⑪水→⑥こんぶ→⑦煮干し→⑩⑧⑨

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 713kcal
たんぱく質 23.7g
脂質 20.0g
カルシウム 342mg
2.4mg
ビタミンA 187μgRE
ビタミンB1 0.44mg
ビタミンB2 0.47mg
ビタミンC 44mg
食物繊維 4.8g
食塩 2.5g
マグネシウム 73mg
亜鉛 2mg

献立例

  • ・麦ごはん
  • ・牛乳
  • ・さばのこうみあげ
  • ごんざ
  • ・にゅうめん
  • ・柿

放送資料

今日は、ごんざの話をします。
「ごんざ」という料理は、どこの県の料理かを知っていますか?正解は、奈良の料理です。
ごんざという言い方は、あまり聞かない言葉ですが、ごった煮という呼び名がだんだん変わり、ごんざになったようです。秋祭りの時に、その土地の氏神さまと一緒に食べるという意味の「権座」のことだともいわれています。里芋や大根などの野菜のごった煮は、昔からずっと食べられている郷土料理です。これからもこの味を伝えていきたいものです。

一口メモ

大和の国中では、秋祭りの宵宮には頭屋(とうや)が祭りのごちそうを作り、氏子にふるまう習慣が今でもあるようだ。
頭屋とは、氏子が一年交替でつとめる氏神さまの世話役のことである。お年寄りの話では、頭屋の仕事は正月のしめ縄の「とんど」に始まり、「麦秋」、田植えの終わる「さなぶり」や二百十日の無事を祈ったり、田の神を祭ったりするとのことである。
そして、頭屋の一年間の最後のお勤めが秋祭りのごちそう作りになるというわけで、これを宮座という。宮座のごちそうは、まず「ごんざ」をつくり、氏神さまに供えたお神酒と共に皆でいただく。

参考資料

  • ・「大和の味改訂版」 田中敏子 著
  • ・奈良新聞社