宮崎県 郷土食

宮崎県

宮崎は、「太陽と緑の国」と呼ばれるように、温暖な気候のもと、緑豊かな県土と日向灘を北上する黒潮の恵みを受け豊富な農林水産物を産出する食の宝庫です。また、ブロイラー・豚・肉用牛ともに全国トップクラスの飼養頭羽数を誇り、「宮崎牛」「ハマユウポーク」などのブランド名を確立しています。豊富な海の幸と山の幸を楽しむ食文化があり、都城市など南部山沿い地域では、「がね」や「ねったぼ」など、さつまいも料理が多くあります。
そして県南の日南・串間地域では、「カツオ茶漬け」や「マグロのかぶと焼き」など黒潮を遊泳する魚を使った豪快な料理や、「飫肥天」など歴史ある土地柄を反映した郷土料理も数多くあります。

地図

冷汁(ひやしる)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 400kcal
たんぱく質 12.8g
脂質 9.5g
カルシウム 144mg
2.0mg
ビタミンA 47μgRE
ビタミンB1 0.67mg
ビタミンB2 0.25mg
ビタミンC 4mg
食物繊維 4.1g
食塩 1.5g
マグネシウム 70mg
亜鉛 2.0mg

由来

「鎌倉管領家記録」という本によると、「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷汁をかけ 参らせ候」と書かれています。僧侶に よって全国に流布(るふ)したのがほとんどすたれ、今では気候風土に適していたと思われる所 にのみ残ったとされています。「冷汁」は時代の変化とともにいろいろな形に変化してい ますが、原形に違いないと思われるのは宮崎県のみであり、 交通が不便だったことから、現在にそのままの形で伝えられたと言われています。

材料・分量

1 あじ 15g
2 木綿豆腐 25g
3 きゅうり(わ切り) 20g
4 しその葉(せん切り) 1g
5 みょうが(せん切り) 3g
6 葉ねぎ(小口切り) 3g
7 白ごま 8g
8 白みそ 14g
9 まこんぶ 1g
10 水 〈麦飯〉 100g
11 精白米 50g
12 押麦 25g
13 113g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・精白米と押麦をといで浸水しておく。
  • ・あじは素焼きにして少し冷まし、頭やほねをとり、身をほぐす。
  • ・あじの頭とほねと昆布を入れてだしをとる。沸騰したら10分位にて、こす。
  • ・白ごまはいる。
  • ・木綿豆腐は軽く水切りする。

作り方

  • 麦ごはんをたく。
  • すりばちで白ごまをすり、白みそを入れてよくすって、すりばちをさかさにして火に あて、少しこげ目がつくまであぶる。
  • ほぐしたあじの身を加えて軽くまぜ、だし汁を少しずつ加えてのばし、木綿豆腐を手でちぎって入れる。
  • きゅうり、しその葉、みょうが、葉ねぎを3に入れる。
  • あつい麦ごはんの上に冷汁をかける。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑪⑫⑬→⑦→⑧→①→①(あじの頭と骨)⑨⑩→
②→③→④→⑤→⑥

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 822kcal
たんぱく質 31.3g
脂質 13.7g
カルシウム 353mg
3.3mg
ビタミンA 286μgRE
ビタミンB1 0.70mg
ビタミンB2 0.52mg
ビタミンC 18mg
食物繊維 6.8g
食塩 2.7g
マグネシウム 103mg
亜鉛 3.2mg

献立例

  • ・麦ごはん
  • ・牛乳
  • 冷汁
  • ・きんぴらごぼう
  • ・フルーツパイン

放送資料

冷汁は、宮崎県の代表的な郷土料理です。
焼いたあじ、いわしなどをほぐし、焼きみそをのばした汁に、とうふ、きゅうり、大葉などの薬味をいれて、アツアツのご飯にかけて食べる夏のスタミナ料理です。食欲のない暑い時に食べやすい上、栄養補給もできる、昔の人の知恵が生かされた料理です。
給食では、冷たい冷汁を出すことができませんが、熱い冷汁をごはんにかけて、味わいながら食べてください。

一口メモ

冷汁は、埼玉県・山形県にも別名ではあるが、似た料理がある。埼玉県の冷汁も、夏の家庭料理として作られる。「冷汁」と書き、「ひやしる」とよぶ。地域によっては「すったて」「つったて」とよぶこともある。元は農民が夏の重労働の時、時間や食欲のない時でも十分な栄養補給や体力回復のために、簡単においしく食べられる生活の知恵として伝えられている。最近は少なくなったが、農家や旧家などでお盆に親せき一同が会した時、最後に出されている。

参考資料

  • ・『日本の食生活全集 聞き書 宮崎の食事』 農山漁村文化協会