宮城県 郷土食

宮城県

宮城県は東北地方の南東部に位置し、東が太平洋に面しており、東北地方の中では、冬の積雪量も少なく、比較的温暖な気候の県です。県内には、塩釜・石巻・気仙沼の3つの有名な漁港があり、かつお、まぐろ、さんま、かれい、ぎんざけ、はぜ、ほや、かき、ふかひれ等の海産物がたくさん水揚げされます。また、農産物は、ひとめぼれ、ササニシキの米を代表とし、れんこん、曲がりねぎ、根みつば、せり、仙台雪菜他、様々な食材が生産されており、県では「食材王国みやぎ」と銘打って、広報活動をしています。

地図

おくずかけ(おくずかけ)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 126kcal
たんぱく質 4.3g
脂質 1.9g
カルシウム 75mg
1.0mg
ビタミンA 84μgRE
ビタミンB1 0.06mg
ビタミンB2 0.04mg
ビタミンC 3mg
食物繊維 4.6g
食塩 1.9g
マグネシウム 35mg
亜鉛 0.6mg

由来

仙台市から県南部を中心に、春秋の彼岸やお盆の代表的な精進料理として「おくずかけ」が伝えられています。
おくずかけは数種類の野菜や、油揚げ、豆麩(ふ)などをしいたけのもどし汁をだしとして煮込み、うーめんを加えて、その名のとおりくずでとろみをつけた具だくさんの汁物です。
古くから禅宗に伝わる普茶 (ふちゃ)料理の「雲片(うんぺん)」に似せて、季節ごとの野菜の持ち味を生かし、無駄なく使うという特徴があります。彼岸やお盆には、もちや五目ごはんなどが作られるので、それに「おくずかけ」を組み合わせると、それだけで十分に食膳を満たすことができます。
かつては山野に自生するくずの根から採ったくず粉が使われていましたが、現在はわずかしか生産されないので、でん粉でとろみをつけています。

材料・分量

1 ごぼう(ささがき) 12g
2 にんじん(いちょう切り) 12g
3 さといも(乱切り) 50g
4 乾しいたけ(せん切り) 1g
5 しらたき(3㎝切り) 50g
6 油揚げ(せん切り) 5g
7 食塩 0.4g
8 こいくちしょうゆ 7g
9 本みりん 2.5g
10 でん粉 2g
11 豆ふ 1g
12 さやいんげん(斜め切り) 5g
13 うーめん 12g
14 かつお節 4g
15 150g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・かつお節でだしをとる。
  • ・乾しいたけは洗ってもどす。もどした水はだしとして使う。
  • ・油揚げは油抜きする。
  • ・うーめんはかためにゆでる。
  • ・豆ふはあらう。
  • ・しらたきはゆでる。

作り方

  • だし汁にしいたけのもどし汁を加え、ごぼう、にんじんを入れて煮る。
  • さといも、もどしたしいたけを加える。
  • しらたき、油揚げをいれて煮る。
  • 調味料で味付けし、水溶きしたでん粉でとろみをつける。
  • 豆ふとさやいんげん、うーめんを加える。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑭⑮だし汁→①ごぼう→②にんじん→③さといも→④しいたけ→⑤しらたき→⑥油揚げ→⑦⑧⑨→⑩でん粉→⑪豆ふ→⑫さやいんげん→⑬うーめん

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 657kcal
たんぱく質 24.5g
脂質 16.1g
カルシウム 317mg
1.8mg
ビタミンA 157μgRE
ビタミンB1 0.23mg
ビタミンB2 0.43mg
ビタミンC 17mg
食物繊維 4.1g
食塩 2.4g
マグネシウム 92mg
亜鉛 2.5mg

献立例

  • ・ごはん
  • ・牛乳
  • ・まぐろのオーロラソースあえ
  • おくずかけ
  • ・水菜と大根のサラダ

放送資料

「おくずかけ」は宮城県に古くから伝わる郷土料理の一つで、作り方や材料は地域や家庭によってさまざまです。だし汁に季節の野菜を彩りよく入れて、でんぷんでとろみをつけ、冷めにくいように工夫されたあんかけ料理です。白石地方特産の「うーめん」を入れるところもあります。今はとろみをつけるのにでんぷんを入れますが、昔は山野に自生する葛の根からとったくず粉が使われていました。それで「おくずかけ」というようになったのでしょう。
また「おくずかけ」はお客様が大勢集まるお盆やお彼岸、法事の時などに「ずんだもち」や「おはぎ」と一緒に仏様に供えられ、精進料理として食べられてきました。もともと精進料理は、お寺のお坊さんが修行中に食べる料理でした。動物を食べてはいけなかったので、肉や魚などをいっさい使わずに野菜や海藻、豆腐、乾物などの食品だけを材料として作られたものです。

一口メモ

うーめんは藩制時代から白石地方で作られている麺で、油を使わないでのばすため、細くのびず、そうめんより短い。
うーめんは、昔、白石に住んでいた鈴木味右衛門(すずきみえもん)が胃の病気の父のために、油を使用せずに作ったとされている。小麦粉と塩水だけで作られた「うーめん」は、消化が良く栄養もあるため、父の胃の病気も良くなった。
人々は、息子のあたたかい心をたたえ、「うーめん(温麺)」と名づけたそうである。

参考資料

  • ・「東北・北海道の郷土料理」 乙坂ひで編著
  • ・「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食-」 宮城の食を伝える会編著
  • ・「白石市史2 特別史(上) 別冊奥州白石温麺史」 関谷宗一著