三重県 郷土食

三重県

三重県は、南北に細長いという地理的特徴や気候・風土によって、北勢・中南勢・伊賀・伊勢志摩・東紀州の5つの食文化圏にわけることができます。北勢から中南勢にかけて広がる伊勢平野からは主食である米をはじめとする里の幸、東に伊勢湾を望みリアス式海岸を経て太平洋に続く広大な熊野灘 (くまのなだ)からは海の幸、さらに南・西・北側に連なる鈴鹿(すずか)山脈や大台山系(おおだいさんけい)から山の幸など多くの食材に恵まれている。

地図

伊勢うどん(いせうどん)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 210kcal
たんぱく質 5.2g
脂質 0.8g
カルシウム 12mg
0.4mg
ビタミンA 0μgRE
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.02mg
ビタミンC 0mg
食物繊維 1.6g
食塩 0.6g
マグネシウム 12mg
亜鉛 0.2mg

由来

参宮街道(さんぐうかいどう)の歴史を考える上で、はずすことのできないのは「伊勢うどん」です。
「伊勢うどん」は江戸時代から存在していて、参宮街道沿いにうどん屋があり、参拝客が食べていました。
全国各地から歩いてきている参拝客の疲労は相当なものであり、その疲れをいやし、活動源になる食べ物として、うどんは最適でした。
多くの参拝客でにぎわうため、つゆがたっぷりで具も多い一般的なうどんでは、食べるのに時間がかかってしまいます。そこで、湯がいたうどんに量の少ない濃い しょうゆだれをかけ、その上に薬味ねぎだけをのせた、かんたんにできてあまり熱くない「伊勢うどん」が作られました。
伊勢の地に来たならば伊勢でしか食べられない独特の「伊勢うどん」。伊勢神宮や参宮街道の にぎわいがあってこそ生まれた食べ物であり、今の時代まで受け継がれてきています。

材料・分量

1 伊勢うどん(ゆで) 200g
2 葉ねぎ(小口切り) 5g
3 たまりしょうゆ 10g
4 こいくちしょうゆ 2.5g
5 砂糖(三温糖) 0.5g
6 砂糖(中ざら糖) 1.5g
7 本みりん 5g
8 50g
9 まこんぶ 1g
10 かつお節 1g
11 煮干し 1g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・まこんぶ、かつお節、煮干しと水でだしを作っておく。

作り方

  • 鍋にみりんを入れ、火にかけアルコールをとばす。
  • たまりしょうゆ・こいくちしょうゆ・砂糖(三温糖)・砂糖(中ざら糖)を加えて一煮立ちさせ、だし汁を入れて2/3ぐらいまで煮つめる。
  • 伊勢うどんをゆで、湯をきる。
  • 伊勢うどんを器に盛り、2のたれをかけて、葉ねぎをちらす。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑧⑨⑩⑪だし汁→⑦→③④⑤⑥→①うどん→②葉ねぎ

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 656kcal
たんぱく質 23.4g
脂質 29.2g
カルシウム 339mg
2.3mg
ビタミンA 246μgRE
ビタミンB1 0.17mg
ビタミンB2 0.42mg
ビタミンC 22mg
食物繊維 3.3g
食塩 3.5g
マグネシウム 79mg
亜鉛 1.9mg

献立例

  • 伊勢うどん
  • ・牛乳
  • ・高野豆腐のからあげ
  • ・ツナサラダ

放送資料

伊勢うどんは、みなさんがよく知っているように、伊勢市の郷土料理です。太い手打ちうどんに秘伝のつゆだれと刻んだ薬味ねぎをかけて食べます。秘伝のつゆだれの材料は、かつお節・煮干し・昆布・たまり醤油・ざらめ糖・水を合わせ何時間も煮て作られています。
伊勢うどんは、見た目には黒く辛そうなうどんですが、「だし」がよく出た味は、あまり辛くなく伊勢に生まれた人は「このうどんじゃないと、うどんを食べた気がしない」と言います。
昔はお伊勢参りの参宮街道沿いに、うどん屋があり参拝客が食べていました。江戸時代から伊勢うどんが存在していたといわれています。神宮や参宮街道の賑わいから生まれたうどんだと考えられます。

一口メモ

伊勢でもっとも有名だったうどん屋は、古市町の「どぶ六」だった。参拝客は、外宮から内宮に行くとき、古市を通り必ずここのうどんで、腹ごしらえをして内宮に向かったといわれている。そして「どぶ六のうどんを食べてきた」というのが、みやげ話となった。評判のうどんは中里介山の「大菩薩峠」あいの山の巻という本に、「どぶ六のうどんは雪のように白くて玉のように太い、それに墨のように黒い醤油を十滴ほどかけて食う、このうどんを生きているうちに食わなければ死んで閻魔さんに叱られると、土地の人にこう言い囃されている」とある。

参考資料

  • ・「 日本の食生活全集 開き書 三重の食事」 財団法人農山漁村文化協会