京都府 郷土食
京都府
1200年の歴史をもつ京都では、宮廷(きゅうてい)料理や精進(しょうじん)料理、懐石(かいせき)料理、また庶民のおばんざい等、京都ならではの料理があります。京都府は、昔、山城・丹波・丹後の3つに大きく分けられ、自然的、風土的条件の違いから、各地方で郷土食もさまざまです。
京都の郷土食は京野菜をはじめとする「旬の菜」が中心の料理が多いのも特徴です。季節の伝統行事と結びつき、京野菜をはじめとするすばらしい伝統料理がたくさんあります。
にしんなす(にしんなす)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 153kcal |
たんぱく質 | 10.9g |
脂質 | 6.9g |
カルシウム | 58mg |
鉄 | 1.3mg |
ビタミンA | 13μgRE |
ビタミンB1 | 0.08mg |
ビタミンB2 | 0.11mg |
ビタミンC | 6mg |
食物繊維 | 3.5g |
食塩 | 1.5g |
マグネシウム | 48mg |
亜鉛 | 0.9mg |
由来
海から離れた京都では、昔は海の魚といえば、乾物や一塩物 (ひとしおもの)がほとんどで した。貴重な海の幸に京都でとれた季節の野菜を組み合わせて、京都独特の料理がたくさん作り出されてき ました。「にしんなす」もそのひとつです。お互いに引き立て合うものを「出合いもん」といい、季節の食べものを上手に献立に取り入れる工夫をした昔の人の知恵が 生かされてい ます。甘辛く炊いたにしんは京のおばんざいとして一年中食べられているものですが、なすの出回る季節にはこの出合いの味を楽 しみます。
脂のあるにしんを煮た煮汁で、淡白ななすを煮つける工夫は、食べもののおいしさを余すことなく使い切るという 、食べものを大切に してきた京都の人の心がけが表れた伝統食の代表といえます。
材料・分量
1 | 身欠きにしん(2~3等分に切る) | 1本(40g) |
2 | なす(縦半分) | 中2個 |
3 | こいくちしょうゆ | 10g |
4 | 砂糖(三温糖) | 2g |
5 | 清酒 | 10g |
6 | 水 | 適宜 |
※身欠きにしんをもどすのに米ぬかを使います。
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・にしんは米ぬかひとつかみを加えた水(または米のとぎ汁)に一晩つけてやわらかくもどす
- ・なすはへたを落とし、たて半分に切って、皮にななめの包丁目を入れ、水に放してアクをぬく。
作り方
- にしんを水洗いし、残っているうろこなどもきれいに洗い落し、えらや尾を除いて1本を2~3切れにする。
- 厚手のなべににしんを並べ、水をひたひたくらいに入れ、酒を加えて15分ほど煮て砂糖を入れ、さらに15分ほど煮る。最後にこいくちしょうゆを入れ、ゆっくり煮る。
- にしんがやわらかくなって味がしみたらにしんをいったん取り出し、煮汁を水で薄めて、なすを入れ、落としぶたをして弱火で煮含める。
- 火を止める前ににしんをなべにもどし、余熱で温めなおし、器に盛り合わせる。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
①にしん→⑥ひたひたの水→⑤→④→③→⑥水(適量)→②なす
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 621kcal |
たんぱく質 | 24.9g |
脂質 | 20.0g |
カルシウム | 295mg |
鉄 | 2.6mg |
ビタミンA | 181μgRE |
ビタミンB1 | 0.20mg |
ビタミンB2 | 0.51mg |
ビタミンC | 11mg |
食物繊維 | 2.0g |
食塩 | 2.5g |
マグネシウム | 88mg |
亜鉛 | 2.9mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・にしんなす
- ・かきたま汁
放送資料
『にしんなす』は京都に昔から伝わる伝統的な料理です。
今のように交通が発達していなかった昔、近くに海のない京都では、干した魚や塩漬けの魚を使って料理を作っていました。
にしんなすのにしんは、身欠きにしんといい、日もちがするようにえらや内臓をとって2~3日干し、開いて中骨を取り、天日にしっかりと干したものです。もどす時は、米のとぎ汁に一晩つけてやわらかくもどします。にしんは脂肪を多く含み、油とよく合う旬のなすと炊き合わせたものが『にしんなす』です。
給食ではもどして使う身欠きにしんでなく、かるく干したにしんを使います。にしんを先に砂糖・酒・しょうゆで味をつけ、その煮汁でなすを炊きます。おいしい煮汁を利用して季節のなすをおいしく食べ、夏バテを防ぎ、元気に過ごすための昔の人の知恵と工夫が生かされた献立です。
一口メモ
身欠きニシンは北海道から北前船で運ばれてきた。新鮮な魚が手に入りにくかった昔の京都では大豆製品とともに貴重なたんぱく源だった。こんぶと炊き合わせて毎月一日には『にしんこぶ』を食べるなど、一年中食べられていた。なすの出回る季節には、『出合いもん』として炊き合わせて食べられてきた。
参考資料
- ・「 大村しげの京のおばんざい」 暮らしの設計No133 中央公論社
- ・「 主婦の友生活シリーズ京のおばんざい」 主婦の友社
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