鹿児島県 郷土食

鹿児島県

鹿児島は温暖な気候に恵まれていますが、県内のほとんど全域をおおうシラス土壌、台風の襲来、桜島の噴火による降灰など特異な自然環境にあります。また、日本列島の南端に位置し、島々も多く、早くから近隣のアジア諸国等との交流も盛んで、異文化の食習慣や食文化に大きな影響を受けてきました。
現在、鹿児島に伝わる郷土料理は、県内各地方で生まれ育まれてきたものや、近隣アジア諸国から伝来し、鹿児島の風土に適するように作り変えられたものなど、多種多様ではありますがいずれも野趣に富んだ独特のものが多いです。

地図

豚骨煮(とんこつに)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 180kcal
たんぱく質 10.2g
脂質 9.3g
カルシウム 94mg
1.6mg
ビタミンA 158μgRE
ビタミンB1 0.29mg
ビタミンB2 0.12mg
ビタミンC 7mg
食物繊維 3.1g
食塩 2.5g
マグネシウム 41mg
亜鉛 1.6mg

由来

豚骨煮とは、ぶつ切りにした豚の骨つきあばら肉を、だいこんやこん にゃくといっしょに柔かく煮た料理です。薩摩兵児(さつまへこ)(わか者たち)や健児 の舎(こんでいのしゃ)(明治以前からの青少年修練場)の祝い行事などに、男手でなされる料理で、焼酎を飲みながら車座でなべを囲み 、取り分けながら食べる野外料理です。一説には、約300年前に薩摩の武士が戦場や狩りの場で作ったのが始まりともいわれています。
薩摩では、慶長14年(1609年)、島津義弘公が琉球を統治して以降、豚をひそかに飼育していました。

材料・分量

1 豚骨(骨付あばら肉)(ブツ切) 35g
2 にんじん(大きめに切る) 20g
3 だいこん(大きめに切る) 40g
4 ごぼう(乱切り) 15g
5 板こんにゃく(大きめに切る) 20g
6 生揚げ(大きめに切る) 15g
7 さやいんげん(2cm に切る) 8g
8 しょうが(すりおろす) 0.7g
9 サラダ油 1g
10 米みそ(赤色辛みそ) 10g
11 砂糖(黒砂糖) 3.5g
12 こいくちしょうゆ 1.3g
13 本みりん 1g
14 しょうちゅう 1.3g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・生揚げは熱湯をかけて油抜きする。
  • ・なべにサラダ油を熱し、おろししょうが半量と豚骨を強火で炒め、表面が白くなったらしょうちゅうを半量入れる。汁気がなくなるまで炒めた後、熱湯をかけ油ぬきをする。

作り方

  • なべにたっぷりの水と豚骨を入れ、やわらかくなるまで煮こむ。
  • にんじん、だいこん、ごぼう、こんにゃく、おろししょうがを、1に入れる。野菜が柔かくなったら、生揚げ、砂糖(黒砂糖)、米みそ(赤色辛みそ)を入れ、しょうゆ、本みりん、しょうちゅうを加えて、とろ火でゆっくり煮こむ。
  • 最後にさやいんげんを散らし、味をととのえる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑨→⑧→①→⑭→②③⑧④⑤→⑥⑧⑪⑩⑫⑬⑭→⑦

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 684kcal
たんぱく質 24.4g
脂質 18.0g
カルシウム 368mg
3.9mg
ビタミンA 338μgRE
ビタミンB1 0.65mg
ビタミンB2 0.58mg
ビタミンC 62mg
食物繊維 6.6g
食塩 1.9g
マグネシウム 114mg
亜鉛 3.9mg

献立例

  • ・さつまいもごはん
  • ・牛乳
  • 豚骨煮
  • ・ピーナツあえ
  • ・ぽんかん

放送資料

豚骨煮は、ほねつきの豚肉をぶつ切りにしてだいこんなどといっしょに大なべに入れ、みそでコトコト煮込んだ鹿児島の郷土料理です。
その昔、薩摩の武士が戦場や狩りの場で作ったのが始まりだといわれ、その後お祝いの行事やお客さまをもてなすときに作られるようになりました。
琉球や奄美の島々では、役人が視察にくる時にいつでも歓迎できる料理として作り、「待てば待つほど良い味になる」ともいわれ、特産の黒豚と黒砂糖で作った料理です。年越しにそばを食べるように、奄美地方ではツワブキを入れた豚骨料理を食べる習慣が今もなお続いています。

一口メモ

琉球から伝わったという中国原産の黒豚は、あぶら身がしまってモチ豚といわれ、さつまいもやデンプンかすを飼料にして育つ。さつまいもの日本一生産地である鹿児島が、豚の生産地日本一になるのもうなづける。
鹿児島の豚は、奄美のざい来種「島豚」を中心に、先祖たちのたゆまぬ努力で改良された黒豚である。

参考資料

  • ・さつま料理歳時記  石神千代乃
  • ・郷土の味  鹿児島県食生活改善推進協議会
  • ・かごしまの味  南日本新聞社編