鹿児島県 郷土食

鹿児島県

鹿児島は温暖な気候に恵まれていますが、県内のほとんど全域をおおうシラス土壌、台風の襲来、桜島の噴火による降灰など特異な自然環境にあります。また、日本列島の南端に位置し、島々も多く、早くから近隣のアジア諸国等との交流も盛んで、異文化の食習慣や食文化に大きな影響を受けてきました。
現在、鹿児島に伝わる郷土料理は、県内各地方で生まれ育まれてきたものや、近隣アジア諸国から伝来し、鹿児島の風土に適するように作り変えられたものなど、多種多様ではありますがいずれも野趣に富んだ独特のものが多いです。

地図

奄美の鶏飯(あまみのけいはん)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 370kcal
たんぱく質 12.9g
脂質 3.0g
カルシウム 35mg
1.3mg
ビタミンA 51μgRE
ビタミンB1 0.40mg
ビタミンB2 0.22mg
ビタミンC 5mg
食物繊維 2.2g
食塩 3.7g
マグネシウム 40mg
亜鉛 1.6mg

由来

奄美の鶏飯は、奄美の島々の料理の中でも最も豪華なものの一つであり、もともとは奄美大島笠利町赤木名が本場と言われています。
むかし、薩摩藩の支配下におかれた奄美群島の人々は、厳しい圧政の中でさとうきびを栽培して黒砂糖を作り、島津藩におさめていたのです。 一本の茎、一本の葉さえも役人の監視をうけて自由にならない上に、苦しい年貢の重みにあえいでいたといいます。その中でも、素朴な島の人々は、本土から渡ってくる威圧的な役人たちのために、できる限りのもてなしをしたと伝えられています。 鶏飯は様々な具を使った手のこんだ料理です。島の人々が役人の気持ちを少しでもやわらげようと祈りつつ料理をしたと言われています。

材料・分量

1 精白米 80g
2 120g
3 鶏がら 60g
4 200g
5 しょうが(うす切り) 1g
6 鶏ささ身 15g
7
食塩
清酒
うすくちしょうゆ
本みりん
 
1g
2.5g
4.5g
3g
8 乾しいたけ 2g
9
うすくちしょうゆ
本みりん
 
3g
1.5g
10 乾しいたけもどし汁 20g
11 鶏卵 20g
12
砂糖(上白糖)
食塩
0.17g
0.13g
13 さやいんげん(せん切り) 20g
14 食塩 0.10g
15 葉ねぎ(みじん切り) 5g
16 パパイヤのみそ漬(みじん切り) 10g
17 みかんの皮(みじん切り) 0.1g
18 焼きのり(せん切り) 0.5g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・乾しいたけは洗って水でもどし、もどした汁はだし汁として使う。
  • ・米は炊く30分前に洗っておく。
  • ・鶏がらは、よく洗って汚れを取り除く。

作り方

  • 米は普通に炊く。
  • 鶏がらは、水と一緒になべに入れて火にかけ、皮つきのまましょうがを入れる。
  • アクを取り除きながら弱火で1時間位煮たら、鶏ささ身を入れてゆでる。
  • 鶏ささ身はとり出して細かくさき、スープはこし、Aを入れてだし汁として使う。
  • Bと乾しいたけのもどし汁を火にかけ、せん切りにしたしいたけを煮含める。
  • 錦糸卵を作る。
  • さやいんげんは塩ゆでしておく。
  • 鶏ささ身・しいたけ・錦糸卵・さやいんげん・葉ねぎ・パパイヤ漬け・みかんの皮・のりを皿にきれいに盛りつける。
  • ごはん茶碗にごはんを盛り、8を形よくのせて、鶏のだし汁をたっぷりかけていただく。

※パパイヤのみそ漬けはだいこんの漬け物で代用できる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
①②→③④⑤⑥⑦鶏のだし汁→⑧⑨⑩→⑪⑫→⑬⑭→⑮→⑯→⑰→⑱

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 639kcal
たんぱく質 28.0g
脂質 15.7g
カルシウム 480mg
3.0mg
ビタミンA 344μgRE
ビタミンB1 0.66mg
ビタミンB2 0.85mg
ビタミンC 44mg
食物繊維 5.3g
食塩 2.5g
マグネシウム 119mg
亜鉛 3.3mg

献立例

  • 奄美の鶏飯
  • ・牛乳
  • ・きびなごのごま揚げ
  • ・ほうれん草の煮びたし
  • ・たんかん

放送資料

奄美の鶏飯は、奄美大島で江戸時代に南海の荒波をわたって見回りにくる薩摩藩の役人をもてなすために作られた料理で、現在も奄美を代表する郷土料理のひとつです。
かつて、鹿児島ではほとんどの家庭で鶏を飼い、祝い事や来客の時のもてなしに、鶏をつぶしてごちそうにしていました。
鶏飯はごはんの上に味のよい地鶏と風味のあるパパイヤづけやみかんの皮など数種類の薬味をのせ、鶏ガラでとったこくのあるだし汁をたっぷりかけていただきます。「温かさもごちそうのうち」といいます。急いで配ぜんしていただきましょう。

一口メモ

薩摩に「さつまどり」がいたように、奄美にもこの鶏ににた赤毛の多い「しまどり」がいた。他のさつまどり料理と同じく、このような放し飼いの地鶏が最もおいしいとされている。
つぶした鶏は、できれば一羽のまま深なべに入れ、たっぷりかぶるほどの水を加え、トロ火で気長にゆでてから身は手でほぐしていた。

参考資料

  • ・かごしまの味  南日本新聞社編
  • ・さつま料理歳時記  石神千代乃著
  • ・私の鹿児島料理   今村知子著