岩手県 郷土食
岩手県
岩手県は、本州一広大な面積を持ち豊かな自然に恵まれています。気象条件が変化に富んでいるので農業資源に恵まれ、県内各地では立地条件を生かした多彩な農業が展開されています。
冷涼でなかなか米がとれなかった県北地域では「ひっつみ」などの粉食習慣が多く見られ、暖かで稲作に適した県南では、30種類以上も食べ方があるといわれる餅 (もち)文化が栄えました。
リアス式の陸中海岸は有数の漁場であり、サンマの水揚げ量も多く、わかめやこんぶの養殖も盛んです。岩手は豊かな農畜産物を全国に向けて送り出す、我が国の食料供給基地としての役割を担っています。
すき昆布の煮付け(すきこんぶのにつけ)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 71kcal |
たんぱく質 | 4.3g |
脂質 | 3.5g |
カルシウム | 44mg |
鉄 | 0.8mg |
ビタミンA | 150μgRE |
ビタミンB1 | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.04mg |
ビタミンC | 0mg |
食物繊維 | 2.4g |
食塩 | 1.3g |
マグネシウム | 28mg |
亜鉛 | 0.5mg |
由来
美しい自然ときれいで厳しい三陸の海は、海藻(かいそう)の宝庫でもあります。岩手で生産される昆布は、マコンブ、ホソメコンブ、ミツイシコンブの3種類。天然ものと養殖(ようしょく)ものとがあり、昭和40年代にコンブの養殖試験に成功してからは、沿岸全域で養殖が行われています。生産量は、北海道に次いで全国2位です。
「すき昆布」は、三陸沖で採れたミネラルたっぷりの真昆布を一度熱湯でゆでてから冷却し、幅を2~3㎜に細かく刻んでぬめりをとり、紙すきと同じ方法の専用のすのこで乾燥して作られるため、この名前がつきました。
水につけてもどし、よくほぐして食べやすい長さに切って煮つけたものは、日常食としてよく作られたものです。
材料・分量
1 | すき昆布(真昆布)(5cm 長さ) | 2g |
2 | にんじん(せん切り) | 10g |
3 | 乾しいたけ(せん切り) | 1g |
4 | しらたき(3cm 長さ) | 20g |
5 | 凍り豆腐(短冊切り) | 6g |
6 | 砂糖(三温糖) | 1.5g |
7 | こいくちしょうゆ | 3g |
8 | 本みりん | 1g |
9 | 煮干し | 1g |
10 | 水 | 50g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・乾しいたけは洗って水でもどす。(もどし汁はだし汁として使う。)
- ・煮干しと乾しいたけのもどし汁でだしをとる。
- ・しらたきはあく抜きをする。
- ・すき昆布(乾燥)は、水で戻す。(戻しすぎると、煮たときに軟らかくなり過ぎるので注意する。)
作り方
- もどしたすき昆布を5cm 位に切って、だし汁で煮る。
- にんじん、しいたけ、しらたき、凍り豆腐の順に煮ていく。
- 調味料で味を調える。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
③⑨⑩だし汁→①すき昆布→②にんじん→③もどししいたけ→
④しらたき→⑤凍り豆腐→⑦砂糖(三温糖)→⑧こいくちしょうゆ→
⑨本みりん
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 634kcal |
たんぱく質 | 25.9g |
脂質 | 19.4g |
カルシウム | 348mg |
鉄 | 2.6mg |
ビタミンA | 352μgRE |
ビタミンB1 | 0.48mg |
ビタミンB2 | 0.50mg |
ビタミンC | 38mg |
食物繊維 | 4.1g |
食塩 | 2.6g |
マグネシウム | 99mg |
亜鉛 | 4.3mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・短角牛の黒酢ソース
- ・すき昆布の煮つけ
- ・じゃがいものみそ汁
- ・みかん
放送資料
海草は、私たち日本人の食生活に古くからなじみがあります。私たちの住む岩手県の三陸沿岸は、その産地でもあります。海草にはたくさんの種類があり、100種類くらいが食用とされているそうです。とくに食べられている海草は、わかめ、のり、こんぶ、ひじき、もずく、てんぐさなどです。今日の給食には、すきこんぶを使った煮つけが登場しています。すきこんぶは、細く切ったこんぶを紙すきのようにして干してつくります。
海草はどれも、ぬるぬるしています。このぬるぬるが水に溶ける「食物繊維」です。野菜だけでなく、海草にも食物繊維が含まれています。
一口メモ
焦げ茶色の肉厚な真昆布を90度のお湯に通した瞬間、パッとツヤのあるきれいな緑色に染まる。素早く流水に通して一気に冷却。2~3ミリ幅に刻み、板状にすいた後、約6時間乾燥させる。すると深い緑色をした「すき昆布」が完成する。
昭和40年代初め普代村では、わかめの養殖が4月に終われば6月のウニ漁まで漁がなかった。なにかやらなければ、何かの漁をしよう、とみんなで話し合ってはじめたのがすき昆布。真昆布の養殖技術、きれいな緑色を出すための加工技術、せいろ(木の箱)で乾燥させるコツなどに試行錯誤を繰り返し、岩手県自慢の特産品「すき昆布」が完成した。
参考資料
- ・ふだい広報
岩手県