岩手県 郷土食
岩手県
岩手県は、本州一広大な面積を持ち豊かな自然に恵まれています。気象条件が変化に富んでいるので農業資源に恵まれ、県内各地では立地条件を生かした多彩な農業が展開されています。
冷涼でなかなか米がとれなかった県北地域では「ひっつみ」などの粉食習慣が多く見られ、暖かで稲作に適した県南では、30種類以上も食べ方があるといわれる餅 (もち)文化が栄えました。
リアス式の陸中海岸は有数の漁場であり、サンマの水揚げ量も多く、わかめやこんぶの養殖も盛んです。岩手は豊かな農畜産物を全国に向けて送り出す、我が国の食料供給基地としての役割を担っています。
さんまのすり身汁(さんまのすりみじる)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 148kcal |
たんぱく質 | 9.3g |
脂質 | 9.4g |
カルシウム | 69mg |
鉄 | 1.1mg |
ビタミンA | 159μgRE |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.12mg |
ビタミンC | 3mg |
食物繊維 | 1.0g |
食塩 | 1.7g |
マグネシウム | 29mg |
亜鉛 | 0.7mg |
由来
約60年前から三陸沖でもさんまが多くとれるようになりました。それまで塩焼きや塩炊きなどがさんま料理の定番でしたが、お茶寄せに集まった主婦たちが、さんまをすり鉢でよくすり だんご型にして入れた汁物を考案しました。
それが「さんまのすり身汁」の始まりだといわれています。さんまをよくすると、ふんわりと仕上がり煮崩れしません。みそ仕立てが基本ですが、しょうゆ味も定番となっています。
現在、三陸に水揚げされるさんまの漁獲量は全国でも上位を占めています。
材料・分量
1 | さんま(すり身) | 30g |
2 | 鶏卵 | 3g |
3 | 米みそ | 3g |
4 | 清酒 | 0.5g |
5 | 食塩 | 0.1g |
6 | 小麦粉(薄力粉) | 1.5g |
7 | だいこん(0.3㎝いちょう切り) | 15g |
8 | にんじん(0.3㎝いちょう切り) | 10g |
9 | 根深ねぎ(斜め切り) | 10g |
10 | 木綿豆腐(4㎝位三角切り) | 25g |
11 | こいくちしょうゆ | 3.5g |
12 | うすくちしょうゆ | 2.5g |
13 | 清酒 | 0.6g |
14 | 食塩 | 0.2g |
15 | 水 | 150g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・さんまのすり身にとき卵と米みそ、酒、塩を加え、小麦粉(薄力粉)をよく混ぜ合わせておく。小麦粉の量は、さんまの脂ののりによって加減する。
作り方
- 鍋に水を入れ、にんじん、だいこんを煮る。
- 野菜が八分どおり煮えたら、さんまのすり身をだんごにして落としていく。少し煮出してうまみをだす。
- すり身だんごが浮いてきたら、豆腐を入れて煮る。
- うすくちしょうゆ、酒、塩で調味する。
- 最後にねぎを入れる。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑮→⑧にんじん→⑦だいこん→①②③④⑤⑥(さんまのすり身)→⑩豆ふ→⑪⑫⑬⑭→⑨ねぎ
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 698kcal |
たんぱく質 | 25.0g |
脂質 | 3.8g |
カルシウム | 319mg |
鉄 | 2.3mg |
ビタミンA | 352μgRE |
ビタミンB1 | 0.44mg |
ビタミンB2 | 0.54mg |
ビタミンC | 43mg |
食物繊維 | 3.7g |
食塩 | 2.8g |
マグネシウム | 85mg |
亜鉛 | 3.0mg |
献立例
- ・わかめごはん
- ・牛乳
- ・鶏肉とさつまいもの 照りあえ
- ・さんまのすり身汁
- ・柿
放送資料
今日の給食は「さんまのすり身汁」です。「さんまのすり身汁」は三陸地方を代表する郷土料理のひとつです。
給食では魚屋さんにさんまのすり身を作っていただき、給食室で調理します。お家で作るときには新鮮なさんまをたたきにして、すり鉢でよくすると、ふわっと仕上がり、煮くずれしません。
さんまには、からだをつくるたんぱく質や血の流れを良くし、血をきれいにして病気を防ぐといわれています。また、血合いには貧血を予防する鉄分が多く含まれています。
給食ではいろいろなさんまの料理が登場しますので楽しみにしてください。
一口メモ
三陸沖でさんまがとれはじめたのは、60年ほど前のことで、それ以前は、「すり身」といえばいわしであった。秋から冬にかけてとれるいわしは、貴重な魚で、とりたてのものは、たたきにしたりぬたにして食べた。
すり身の作り方は、包丁を使わず親指と人差し指で頭の骨をへし折り、そのまま人差し指で腹を裂いてわたをとりだす。それと同時に、腹側からぐっと親指をさし込んで、骨の部分をまっすぐに開いていくと骨がとれる。まな板の上にのせ、出刃包丁を使って細かくたたき、包丁を左右にねかせながらよく練る。こうすると肉に粘りが出るので、その後すり鉢に入れてよく練る。
参考資料
- ・「気仙食の匠」 発行岩手県大船渡地方振興局農林部
- ・「日本の食生活全集③」「聞き書岩手の食事」 発行(社)農山漁村文化協会
岩手県