石川県 郷土食
石川県
石川県は、南北に細長いことから「加賀」と「能登」に分けられる。「加賀」は肥沃な平野と潤沢な水を利用し米どころとして知られ、「能登」は三方を日本海に囲まれているので海の幸とそれらを使った珍味が多い。また城下町金沢には、百万石の伝統が色濃く受け継がれ、鴨のじぶ煮やはす蒸しなどは、石川の食文化を代表している。
じぶ煮(じぶに)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 80kcal |
たんぱく質 | 4.2g |
脂質 | 0.5g |
カルシウム | 19mg |
鉄 | 0.7mg |
ビタミンA | 211μgRE |
ビタミンB1 | 0.06mg |
ビタミンB2 | 0.09mg |
ビタミンC | 6mg |
食物繊維 | 1.5g |
食塩 | 0.9g |
マグネシウム | 22mg |
亜鉛 | 0.5mg |
由来
じぶ煮は、加賀藩の時代からハレの日、また、日常の惣菜として、庶民が作り出した料理です。小麦粉でとろみのついた肉を野菜と共に、じぶ煮椀と呼ばれる浅く広口の加賀蒔絵の塗椀に盛りつけます。その名の由来は諸説あります。寛永年間、キリシタン大名の高山右近(たかやまうこん)が加賀藩にお預けの身となった際に、宣教師から鴨肉を使ったポルトガル料理を教わり、それが加賀文化に溶け込んだという説です。2つめは豊臣秀吉の文禄の役に兵糧奉行として従事した岡部治部右衛門 (おかべじぶうえもん)が朝鮮から伝えたという説です。さらにじぶじぶ煮るという擬声語からついたという説があります。
材料・分量
1 | 鶏むね肉(一口大そぎ切り) | 35g |
2 | 小麦粉(薄力粉) | 5g |
3 | ほうれんそう(茹でて3㎝切り) | 15g |
4 | すだれ麩(1.5㎝短冊切り) | 7g |
5 | たけのこ(0.5㎝くし型切り) | 20g |
6 | にんじん(0.5㎝花形切り) | 7g |
7 | 生しいたけ(1枚、飾り切り) | 7g |
8 | こんぶ | 1g |
9 | かつお節 | 3g |
10 | 水 | 70g |
11 | 砂糖(上白糖) | 1.5g |
12 | 清酒 | 6g |
13 | 本みりん | 6g |
14 | こいくちしょうゆ | 6g |
15 | 練りわさび | 0.5g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・こんぶとかつお節と水でだしをとっておく。
- ・ほうれんそうは茹でて、すだれで巻き、3㎝長さに切る。
- ・(すだれ麩が乾燥の時はぬるま湯につけて戻す。)
作り方
- 鶏むね肉に小麦粉(薄力粉)をたっぷりとまぶす
- だし汁と調味料を煮立て、にんじん、たけのこ、すだれ麩、生しいたけを煮て、味がついたら取り出しておく。
- 2に1の鶏むね肉を入れて煮る。肉に火が通ったら取り出し、煮汁のとろみが足りないようなら1で残った小麦粉(薄力粉)をいれて、とろみをつける。
- 椀に鶏むね肉と2の材料とゆでたほうれんそうを盛り付け、3の煮汁をかけて、練りわさびを添える。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑧こんぶ⑨かつおぶし⑩水→⑪さとう→⑫さけ→⑬みりん→
⑭しょうゆ→⑥にんじん→⑤たけのこ→④すだれ麩→⑦生しいたけ
→ここで一度取り出し次に煮汁の中へ②小麦粉をまぶした①とりにくと③ほうれんそうを入れる→⑮わさび
これらを椀に盛りつけて出来上がりです。
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 603kcal |
たんぱく質 | 23.4g |
脂質 | 15.7g |
カルシウム | 321mg |
鉄 | 2.7mg |
ビタミンA | 267μgRE |
ビタミンB1 | 0.51mg |
ビタミンB2 | 0.49mg |
ビタミンC | 44mg |
食物繊維 | 4.3g |
食塩 | 2.6g |
マグネシウム | 101mg |
亜鉛 | 3.0mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・じぶ煮
- ・みそ汁
- ・果物(いちご)
放送資料
今日は、私たちの住む金沢の郷土料理の代表「じぶ煮」を給食風にした料理です。じぶ煮は、カモの肉に小麦粉をつけて煮た料理ですが、給食では鶏肉を使っています。また、じぶ煮にはかかせない「すだれ麩」という、麩も入っています。
じぶ煮という名前は、豊臣秀吉の家臣の岡部治部右衛門が朝鮮から伝えたとか、江戸時代に、高山右近という人が宣教師から教わったポルトガル料理が日本風になったとか、「じぶじぶ」という、煮ている音からその名前がついたなどと言われています。
一口メモ
じぶ煮は、11月~2月頃の鴨に脂がのった頃の冬の料理で、おもに鴨が使われていたが、つぐみや鶏肉でも代用されてきた。加賀の片野は、現在も鴨が多く飛来することで有名だが、藩政期には士族の猟場となり、藩主は毎年12月になると、捕獲した鴨を幕府に献上していた。当時、鴨猟は武家のみに許されていたため、鴨料理は士族で喜ばれる料理であったが、明治維新後には、町の人も猟をすることをすることが許され、自由に食べられるようになった。一説では、昔はただ「じぶ」と呼んでいたとも言われている。
現在は、冬に限らず、四季折々の旬の素材を組み合わせ、1年を通し食べられている。
参考資料
- ・「こどもたちにふるさとの味を-加賀編-」 石川県教育委員会
- ・「日本の食生活全集⑰聞き書石川の食事」 社団法人農山漁村文化協会
- ・「かなざわ食育プラン2007実践本部」(郷土料理写真提供)
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