石川県 郷土食
石川県
石川県は、南北に細長いことから「加賀」と「能登」に分けられる。「加賀」は肥沃な平野と潤沢な水を利用し米どころとして知られ、「能登」は三方を日本海に囲まれているので海の幸とそれらを使った珍味が多い。また城下町金沢には、百万石の伝統が色濃く受け継がれ、鴨のじぶ煮やはす蒸しなどは、石川の食文化を代表している。
はす蒸し(はすむし)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 109kcal |
たんぱく質 | 9.1g |
脂質 | 4.4g |
カルシウム | 46mg |
鉄 | 0.4mg |
ビタミンA | 311μgRE |
ビタミンB1 | 0.19mg |
ビタミンB2 | 0.20mg |
ビタミンC | 6mg |
食物繊維 | 0.8g |
食塩 | 1.3g |
マグネシウム | 17mg |
亜鉛 | 0.9mg |
由来
加賀れんこんの始まりは、五代藩主前田綱紀(まえだつなのり)が尾張の国から取り寄せた蓮を城内の池に植えて、その花を愛でた時からとされています。それを、大樋 (おおひ)町の長兵衛が持ち帰り、泥田に植えたところ、よく成長し「大樋れんこん」として有名になりました。現在では「加賀れんこん」と呼ばれ、加賀野菜の一つとなっています。「加賀れんこん」の名は、大正時代に生産拡大に功績のあった本岡太吉が名づけたといわれています。
「加賀れんこん」は繊維が細かく、普通のれんこんよりもでんぷん質を多く含むため、滋養豊富な食べ物として、昔は、禄の高い武士や裕福な町民しか口にできない、高価な食べものでした。はす蒸しは、その性質を利用し、すりおろしたれんこんを蒸し固めた料理です。
材料・分量
1 | れんこん(すりおろす) | 50g |
2 | 卵白 | 7g |
3 | でん粉 | 0.7g |
4 | 食塩 | 0.3g |
5 | 砂糖(上白糖) | 0.5g |
6 | うなぎ蒲焼きまたは白身魚 | 20g |
7 | えび(一口大に切る) | 15g |
8 | 乾しいたけ | 0.5g |
9 | ぎんなん | 5g |
10 | ゆり根 | 5g |
11 | こんぶ | 1g |
12 | かつお節 | 3g |
13 | 水 | 30g |
14 | 本みりん | 2.5g |
15 | 食塩 | 0.3g |
16 | うすくちしょうゆ | 1.8g |
17 | でん粉 | 0.3g |
18 | みつば | 3g |
19 | ゆず(皮を飾り切り) | 0.5g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・こんぶ、かつお節と水でだしを作っておく。
- ・しいたけは戻してせん切りにする。
- ・ゆり根、えびは茹でておく。
- ・ぎんなんは皮をむき、茹でておく。
- ・三つ葉は葉の部分をつんでおく。
作り方
- すりおろしたれんこんは、巻きすにのせて水分を切り、卵白、でん 粉、食塩、砂糖を加えて混ぜ合わせる。
- 1にしいたけ、えび、ぎんなん、ゆり根を加えて軽く混ぜる。
- 器にうなぎの蒲焼きを入れ、2をのせ、約20分蒸す。
- だし汁、みりん、塩、しょうゆを鍋に入れ煮立て、水溶きでん粉を加えてとろみをつける。
- 蒸しあがった4に5のあんをかけ、みつば、ゆずを飾る。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
①れんこん→②卵白→③でん粉→④しお→⑤さとう→⑧しいたけ→⑦えび→⑨ぎんなん→⑩ゆり根→⑥うなぎ→蒸す
たれ⑪こんぶ⑫かつお節⑬水→⑭みりん→⑮しお→⑯しょうゆ→⑰でん粉→⑱みつば→⑲ゆず
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 628kcal |
たんぱく質 | 26.0g |
脂質 | 16.7g |
カルシウム | 324mg |
鉄 | 2.2mg |
ビタミンA | 594μgRE |
ビタミンB1 | 0.71mg |
ビタミンB2 | 0.69mg |
ビタミンC | 20mg |
食物繊維 | 2.4g |
食塩 | 2.5g |
マグネシウム | 64mg |
亜鉛 | 2.0mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・はす蒸し
- ・かきたま汁
- ・干しいも
放送資料
はす蒸しは、金沢の郷土料理です。金沢の小坂地区でとれる小坂れんこん(加賀れんこん)は江戸時代から栽培されています。当時は、武士のみが食べることを許され、一般の人が食べられるようになったのは、明治時代になってからです。
加賀れんこんは、加賀野菜の一つで、ねばりが強いのが特徴です。そのれんこんをすりおろして、野菜やゆでたえびなどを混ぜ込み、うなぎの蒲焼きの上にのせて蒸します。蒸しあがったら、その上から、あんをかけていただきます。料亭などで出る上品な大人の味をぜひ味わってみてください。
一口メモ
石川県で食用れんこんが栽培されたのは、藩政時代からといわれている。当時、水田にれんこん栽培が認められたのは、稲が町家や木陰になって日当たりが悪く、収穫がほとんど無いところであった。
蓮の根を食用として利用するようになったのは、京都との深い交流や、加賀藩の勢力、豊かな財力を背景に栽培され、上層の武士間で食用に供されていたものが、一般に広がったと考えられている。
参考資料
- ・「こどもたちにふるさとの味を-加賀編-」 石川県教育委員会
- ・「食べてみまっし加賀野菜」 北陸農政局 金沢統計情報出張所(現北陸農政局)
- ・「かなざわ食育プラン2007実践本部」(郷土料理写真提供)
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