茨城県 郷土食
茨城県
茨城県は、首都圏に位置しながら、総延長190㎞にも及ぶ海岸線や全国第2位の広さを誇る「霞ヶ浦」、日本三名漠に数えられる「袋田の滝」、関東の名峰「筑波山」を有するなど、風光明媚な自然に恵まれています。
産業面においても、農産物では全国1位の産出額のメロン、れんこん、干しいも、みずな、ちんげんさい、みつば、せり、同じく全国1位の栗や2位の梨、畜産物では常陸牛や奥久慈しゃもなどがあり、また水産物の漁獲量では全国2位の生産量があり、大変恵まれた状況にあります。
加えて、県南に位置する「つくば市」は、平成19年に東京の「秋葉原駅」との間に「つくばエクスプレス」が開通し、「学術文化研究」の中心都市として、我が国ばかりではなく、世界的にも脚光を浴びています。
ぬっぺ汁 (ぬっぺじる)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 71kcal |
たんぱく質 | 4.9g |
脂質 | 1.5g |
カルシウム | 42mg |
鉄 | 0.62mg |
ビタミンA | 197μgRE |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンC | 9mg |
食物繊維 | 2.4g |
食塩 | 0.7g |
マグネシウム | 25mg |
亜鉛 | 0.3mg |
由来
ぬっぺ汁(じる)はもともと「のっぺい」と呼ばれ、漢字では「濃餅」とか「能平」と書きます。さといも等を用いたぬるっとした感触のある煮込み汁で、昔から全国的に「郷土料理」として存在していたようです。
茨城県では、関東の三大祭りのひとつである石岡市の“常陸国総社宮大祭(ひたちこくそうしゃぐうたいさい)”のときのおもてなし料理として各家庭で作られていました。大量に作るので、煮くずれしないように野菜を大きめのさいの目に切り、味がしみこんだものを何日かに分けて食べていたようです。内陸地方では、だしにはするめやかつお節、こんぶなどの干物が使われ、結婚式などのお祝いの席や法事などのふるまい料理として作られていました。
材料・分量
1 | さといも(1cm 角切り) | 28g |
2 | 板こんにゃく(1cm 角切り) | 23g |
3 | ごぼう(小口切り) | 8g |
4 | だいこん(1cm 角切り) | 24g |
5 | にんじん(1cm 角切り) | 16g |
6 | 生しいたけ(1cm 角切り) | 6g |
7 | れんこん(1cm 角切り) | 10g |
8 | 油揚げ(短冊切り) | 5g |
9 | するめ(せん切り) | 3g |
10 | 清酒 | 2g |
11 | 本みりん | 2.2g |
12 | こいくちしょうゆ | 4.2g |
13 | かつお節 | 2.3g |
14 | まこんぶ | 0.6g |
15 | 水 | 150g |
下ごしらえ・作り方
下ごしらえ
- ・するめは水でもどして切る。
- ・ごぼうは切って水にさらす。
- ・こんにゃくは切ってからゆでる。
- ・油揚げは切って油ぬきする。
- ・かつお節とこんぶと水でだしを取る。
作り方
- なべにだし汁と酒、材料を入れて煮る。
- 材料に火が通ったら、みりんとこいくちしょうゆで味付けをし、さ らに煮込み、材料に味をしみこませる。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑬⑭⑮だし汁→⑩酒→⑨するめ→①さといも→②板こんにゃく→③ごぼう→④だいこん→⑤にんじん→⑥生しいたけ→⑦れんこん→⑧油揚げ→⑬⑭⑮だし汁→⑫本みりん→⑬こいくちしょうゆ
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 634kcal |
たんぱく質 | 30.7g |
脂質 | 11.9g |
カルシウム | 325mg |
鉄 | 3.2mg |
ビタミンA | 650μgRE |
ビタミンB1 | 0.63mg |
ビタミンB2 | 0.55mg |
ビタミンC | 34mg |
食物繊維 | 5.3g |
食塩 | 1.9g |
マグネシウム | 103mg |
亜鉛 | 1.9mg |
献立例
- ・ごはん
- ・牛乳
- ・かつおの煮付け
- ・ピーナッツあえ
- ・ぬっぺ汁
放送資料
今日はつくば市の郷土料理の「ぬっぺ汁」です。里芋、にんじん、れんこん、ごぼう、こんにゃく、するめなどをだし汁で煮て、しょうゆで味付けします。日本各地にぬっぺ汁という郷土料理はありますが、つくば市のぬっぺ汁はするめを入れるのが特徴で、するめから出るだしと里芋から出るぬめりがとろみを生み出します。旬の野菜がたくさん入っているので、食物せんいやビタミン類をとることができます。
昔は現在ほど食べ物が豊富でなかったので、その土地でとれる旬の食材をふんだんに使って料理を作り、お祝い事や人が集まる時に大勢で食べるのが楽しみでした。その土地で受け継がれてきた郷土料理には、昔の人の知恵や工夫が詰まっています。
一口メモ
ぬっぺ汁は、材料などに多少の違いはあるもののつくば市内各地で作られている。秋の収穫がひと段落したときのお祝いや、結婚式や法事などの人が集まる時には必ず登場した。こうした郷土の料理を大勢で集まって食べることが、当時の楽しみのひとつであった。いずれにしても、その土地で手に入る食材をむだなく使って栄養をつけるという先人の知恵には、学ぶべきものが多い。
参考資料
- ・つくば市に住むお年寄りの方々から聞いた話
茨城県