福島県 郷土食

福島県

福島県は、全国で3番目に広い面積をもち、南北へつながる阿武隈(あぶくま)高原と奥羽(おうう)山脈によって、中通り(なかどうり)・会津(あいず)・浜通り (はまどうり)の気候・風土の違う3つの地方に分けられます。きゅうり・トマト・さやいんげん・ブロッコリー等の野菜、美味しいお米、「くだもの大国」と言われるように桃・りんご・梨などの生産量が多く山菜も豊富である。黒潮と親潮がぶつかり合う潮目になってよい漁場に恵まれているため、秋刀魚・たこ・ひらめなどたくさんの魚介類が水揚げされます。また鯉の生産量全国1位です。山の幸・海の幸そして温泉に恵まれた県です。

地図

こづゆ(こづゆ)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 52kcal
たんぱく質 4.2g
脂質 0.1g
カルシウム 39mg
0.8mg
ビタミンA 349μgRE
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.05mg
ビタミンC 4mg
食物繊維 2.9g
食塩 1.1g
マグネシウム 22mg
亜鉛 0.4mg

由来

江戸時代には、武家料理であったと考えられています。使われる材料については、時代によりかなり変化 しますが、現在のような形になったのは明治時代の終わり頃と言われています。そのころは、「重(じゅう)」・「大平(おおひら)」などと呼ばれていましたが、大正時代頃より「こづゆ」と呼ばれ、貝柱・ さといも・きくらげ・にんじん・まめふなどが材料として使われるようになりました。
祭りや祝い事の晴れ食として、また冠婚葬祭の膳にも必ず付く伝統食で、干し貝柱でだしを取り、それぞれの素材の味を感じることができるよう薄味に仕上げます。当時、膳料理はほとんど手を付けず家へ持ち帰るという風習があったため、こづゆは何度でもお代わりしてよいとされ、お膳の中心的な存在でした。

材料・分量

1 ほたてがい(貝柱、煮干し) 3g
2 さといも(0.5㎝いちょう切り) 20g
3 にんじん(0.5㎝いちょう切り) 20g
4 乾ししいたけ(千切り、0.5㎝角) 1g
5 きくらげ(0.5㎝短冊切り) 0.5g
6 しらたき(3㎝) 30g
7 白玉麩(まめふ) 3g
8 ほうれん草(季節の青み)(3㎝) 7g
9 こいくちしょうゆ 5g
10 食塩 0.2g
11 本みりん 0.5g
12 戻し汁+水 120g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・ 貝柱、乾ししいたけは、洗って水でもどす。
  • ・もどし汁は、だし汁として使う。
  • ・さといもは、かためにゆでてぬめりをとる。
  • ・しらたきは、切ってゆでる。
  • ・きくらげは、洗ってもどす。
  • ・白玉麩は、水でもどす。
  • ・ほうれん草は、ゆでて切る。

作り方

  • なべに戻し汁と分量の水、ほぐした貝柱、しいたけを入れ沸騰させる。
  • にんじん、きくらげを加える。
  • にんじんが柔らかくなったら、さといも、しらたきを加え柔らかく煮る。
  • 調味料を加え、味付けをする。
  • 白玉麩(ふ)を加え、一煮立ちさせる。
  • 青みを加え仕上げる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑫→①貝柱④しいたけ→③にんじん⑤きくらげ→②さといも⑥しらたき→⑨ ⑩ ⑪→⑦白玉麩(ふ)→⑧ほうれんそう

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 682kcal
たんぱく質 29.6g
脂質 21.8g
カルシウム 350mg
3.0mg
ビタミンA 614μgRE
ビタミンB1 0.59mg
ビタミンB2 0.55mg
ビタミンC 44mg
食物繊維 6.7g
食塩 2.5g
マグネシウム 83mg
亜鉛 1.8mg

献立例

  • ・赤飯
  • ・牛乳
  • ・鮭の唐揚げ
  • ・くるみあえ
  • こづゆ
  • ・身知らず柿

放送資料

会津を代表する郷土料理のこづゆです。会津のほとんどの地域で食べられてきました。こづゆは、手塩皿といわれる浅めに作られた会津塗りの小さい朱塗りの椀に盛られたことから「こじゅうのつゆ」がなまって、「こづゆ」になったのではないかといわれています。
お祭りやお祝い、冠婚葬祭の時のもてなし料理として作られ、材料は干し貝柱、里芋、しいたけ、きくらげ、にんじん、まめふ、しらたきと、彩りに絹さややほうれん草、わらびなど季節の野菜を使い、海の幸、山の幸、里の幸をじょうずに使って作られています。
いろいろな材料を使って作っているので、食物繊維(せんい)やミネラルが豊富に含まれています。

一口メモ

昔、膳料理には手を付けず、家庭に持ち帰る習慣があった。こづゆを肴にして酒を飲むため、こづゆは何回もお代わりしてよいとされていた。盛り替えをするために直径35~40㎝の円形の蓋付きの器「大平」に入れられ、そこから手塩皿と呼ばれる浅めの朱塗りの椀に汁ごと盛られ、酒の肴として何杯も食べられてきた。この手塩皿は、「かいしき」「吸い笠」などと呼ばれている。

参考資料

  • ・「こづゆ」 平出美穂子著
  • ・「会津若松市市史」 会津若松市