福岡県 郷土食

福岡県

福岡県は、三方を海に囲まれています。そして、いくつかの山地と、その間を流れる河川や肥沃な平野など、自然に恵まれた地域です。この恵まれた自然条件を生かして、いちごの「あまおう」や「博多なす」に代表されるように、全国に誇れる農産物もたくさんあります。
また、古くは太宰府政庁や鴻臚館(こうろかん)が置かれるなど、中国大陸や朝鮮半島との交流の窓口であり、今でも九州の玄関口として、いろいろな物や人・文化の交流が盛んな場所です。このような特色を持つため、地域によって様々な食文化が発達しています。

地図

鰯の糠みそだき(いわしのぬかみそだき)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 132kcal
たんぱく質 9.4g
脂質 7.1g
カルシウム 33mg
1.3mg
ビタミンA 16μgRE
ビタミンB1 0.21mg
ビタミンB2 0.19mg
ビタミンC 0mg
食物繊維 0.6g
食塩 0.8g
マグネシウム 17mg
亜鉛 0.4mg

由来

約400年前、小笠原家藩主・忠真公が小倉城の初代藩主として故郷の信州から赴任した ときに、信州の「糠みそ」を持ってきました。その糠みそと、北九州の周りの海でたくさん獲れていた「いわし」が 出合って誕生した料理であり、「じんだ(糂汰)煮」とも言います。じんだ(糂汰)とは「糠みそ」の意味であり、「徒然草(つれづれぐさ)」にも「後世を思わん者は、糂汰瓶一つ持つまじき事なり」といった一文があ ります。「じんだ(糂汰)煮」は、江戸時代から保存食として作られてきました。また、「じんだ」を「陣を立てる」という意味にかけて、縁起が良い食べ物として小笠原公が好んで食べていたとも言われています。

材料・分量

1 いわし(一匹) 40g
2 糠みそ 8g
3 砂糖(三温糖) 3g
4 清酒 2g
5 本みりん 2g
6 こいくちしょうゆ 5g
7 20~30g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・いわしは頭と内臓は取り除く。

作り方

  • 糠みそ、調味料、水を合わせ煮立たせる。
  • いわしを調味液に入れ強火にする。
  • 煮たってから、魚に煮汁がまわる程度の火加減にし1時間くらい煮含める。
  • 煮上がったら、冷ました後、盛りつける。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
②糠みそ③砂糖(三温糖)④清酒⑤本みりん⑥こいくちしょうゆ
⑦水→①いわし

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 673kcal
たんぱく質 28.0g
脂質 19.9g
カルシウム 357mg
2.9mg
ビタミンA 229μgRE
ビタミンB1 0.75mg
ビタミンB2 0.57mg
ビタミンC 26mg
食物繊維 3.1g
食塩 1.8g
マグネシウム 84mg
亜鉛 2.8mg

献立例

  • ・ごはん
  • ・牛乳
  • いわしの糠みそだき
  • ・だぶ
  • ・みかん

放送資料

今日は、郷土料理「いわしの糠みそだき」のお話をします。
糠みそは、米ぬかに塩と水を加えたもので、きゅうりやにんじん、大根などの野菜を漬けて「糠みそ漬け」を作ります。野菜の味が混ざり合って、糠みそ自体もとてもおいしくなります。風味を良くするために、さんしょうの実やとうがらし、昆布などを入れるなど、それぞれの家庭によって、独自の味を作り出します。
また、北九州市は海に近く、昔はいわしがたくさんとれていました。そのいわしを糠みそと一緒に煮たものが、北九州市の郷土料理「いわしの糠みそだき」です。こうすると、魚の臭みが消え、糠みその栄養も一緒にとれ、忙しい農作業の合間でも温めなおしておいしく食べられるという、昔の人の知恵が詰まった料理です。

一口メモ

「糠みそ」は昔、小倉城の初代藩主が赴任する時に、信州から大切に持ってきたものである。床の間に飾ったことから、「糠床」と言われるようになり、「糠みそ漬け」を「床漬け」と呼ぶようになったと言われている。

参考資料

  • ・北九州市経済局観光課「観光navi」
  • ・北九州市商工会議所「北九州市『食』の認定ブランド」