愛媛県 郷土食

愛媛県

愛媛県は、四国の北西に位置し、北側には瀬戸内海に面した平野が広がり、南側には西日本で最も高い石鎚山(いしづちさん)がそびえています。瀬戸内海・宇和海には200余りの島々があり、海・山の自然に恵まれています。
「島山のよろしき国」と万葉集にうたわれる伊予の国・愛媛は、瀬戸内の温暖な気候と豊かな自然に囲まれ、豊富で新鮮な食材があります。「人と環境への愛」「産品への愛」「ふるさとへの愛」この3つの「愛」をもつ愛媛産の食材を生かした伝統料理がそれぞれの地域でふるさとの味、郷土料理として伝えられています。

地図

いもたき(いもたき)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 142kcal
たんぱく質 7.0g
脂質 4.7g
カルシウム 53mg
1.1mg
ビタミンA 141μgRE
ビタミンB1 0.08mg
ビタミンB2 0.09mg
ビタミンC 4mg
食物繊維 2.4g
食塩 0.8g
マグネシウム 25mg
亜鉛 1.0mg

由来

大洲(おおず)の「いもたき」は、春秋2回の地元農民の寄り合い行事のうち、秋のお籠(こも)りにつくられたハレの食事で した。市の中心部を流れる肱川(ひじかわ)の河原へ、各自その年収穫した夏イモ(さといも)を持ち寄り、こんにゃく、しいたけ、油揚げ、鶏肉を鍋で煮こみ、秋の名月をめでながら食べました。
これを昭和41年から観光事業として開発したのが現在の「いもたき」で、情緒豊かないもたきは多くの観光客を集め、今では夏の鵜飼(うかい)とならぶ大洲を代表する観光事業となっています。

材料・分量

1 さといも(一口大に切る) 45g
2 にんじん(1㎝いちょう切り) 8g
3 枝こんにゃく(1.5㎝角切り) 30g
4 乾しいたけ(短冊切り) 1g
5 砂糖(中ざら糖) 5g
6 清酒 1g
7 鶏もも肉(1.5㎝角切り) 20g
8 こいくちしょうゆ 3.1g
9 食塩 0.1g
10 油揚げ(1㎝幅短冊切り) 8g
11 白玉粉 10g
12 本みりん 1g
13 さやいんげん(1㎝小口切り) 5g
14 煮干し(だし用) 2g
15 40g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・乾しいたけは洗って水でもどす。もどした水はだし汁として使う。
  • ・煮干しと水でだしをとる。
  • ・さといもはさっと下ゆでする。
  • ・こんにゃくは下ゆでする。
  • ・油揚げは油抜きする。
  • ・白玉粉でだんごを作っておく。

作り方

  • なべにだし汁を入れ、さといも、にんじん、こんにゃく、しいたけの順 に加え煮る。
  • ひと煮立ちしたら、砂糖と酒、鶏もも肉を入れて煮て、アクをすくい取り、こいくちしょうゆ、塩、油揚げを加えて煮る。
  • 材料に程よく味がついた頃に、白玉だんごと本みりん、さやいんげんを入れ、仕上げる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑭⑮だし汁→①さといも→②にんじん→③こんにゃく→④しいた→⑤⑥⑦鶏もも肉→⑧⑨⑩油揚げ→⑪白玉粉→⑫みりん→⑬さやいんげん

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 639kcal
たんぱく質 28.2g
脂質 17.3g
カルシウム 442mg
2.5mg
ビタミンA 301μgRE
ビタミンB1 0.53mg
ビタミンB2 0.55mg
ビタミンC 14mg
食物繊維 4.1g
食塩 1.6g
マグネシウム 98mg
亜鉛 3.6mg

献立例

  • ・もち麦ごはん
  • ・牛乳
  • ・焼きししゃも
  • ・ごま和え
  • いもたき

放送資料

「いもたき」は大洲(おおず)の郷土料理です。藩政時代に行われていた「お籠り」と呼ばれる親睦行事が始まりとされ、約300年の歴史があります。里芋、油揚げ、鶏肉、こんにゃくなど、新鮮な材料をだしで煮る素朴な鍋料理です。養蚕が盛んであった名残りで、白玉団子を繭の形にゆでて加える風習も残っています。里芋は、大洲自慢の夏芋を用いて作られ、肱川(ひじかわ)河原でゴザを敷き、名月を愛でながら「いもたき」を楽しみます。
給食のいもたきは、地元特産の夏芋、鶏肉、こんにゃく、油揚げ、白玉団子のほかに、にんじんやしいたけなども加えておいしく煮込んでいます。ふるさとの味を大切に伝えていきたいです。

一口メモ

肱川は愛媛県第一の河川で、平素はおだやかであるが、一度大雨となると昔からよく氾濫した。度重なる水害は大洲盆地に上流の肥沃土を運んだ。そこで味・色・形と三拍子そろった最良の根菜類を作り出した。大洲のさといもは形くず
れせず、舌の上でとろけるようにうまいという。大洲のいもたきは、太古からの伝統のうえに、恵まれた気候風土を利用して現代に適応して作られている地域の郷土料理といえる。

参考資料

  • ・日本の郷土料理⑩四国石毛直道 奥村彪 神崎宣武 山崎諭一 著