愛媛県 郷土食

愛媛県

愛媛県は、四国の北西に位置し、北側には瀬戸内海に面した平野が広がり、南側には西日本で最も高い石鎚山(いしづちさん)がそびえています。瀬戸内海・宇和海には200余りの島々があり、海・山の自然に恵まれています。
「島山のよろしき国」と万葉集にうたわれる伊予の国・愛媛は、瀬戸内の温暖な気候と豊かな自然に囲まれ、豊富で新鮮な食材があります。「人と環境への愛」「産品への愛」「ふるさとへの愛」この3つの「愛」をもつ愛媛産の食材を生かした伝統料理がそれぞれの地域でふるさとの味、郷土料理として伝えられています。

地図

いぎす豆腐(いぎすどうふ)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 34kcal
たんぱく質 3.7g
脂質 1.2g
カルシウム 24mg
0.6mg
ビタミンA 34μgRE
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.02mg
ビタミンC 1mg
食物繊維 1.4g
食塩 0.3g
マグネシウム 23mg
亜鉛 0.2mg

由来

「いぎす豆腐」は、愛媛県越智(おち)・今治(いまばり)地方の夏を代表する郷土料理です。「いぎす」は浅海の岩や砂れきに生えるイギス科の海 そうで、7~8月に採取します。これと生大豆粉とを合わせてだしで煮溶かし、寒天のように固め ます。ひんやりツルンとした舌触りが、お盆や法事のごちそうとして親しまれてきました。
また、「いぎす豆腐」には「具なし」と「具入り」の2種類があり、「具入り」は煮たえびや野菜を混ぜて固めているので、見た目も味わいもにぎやかで す。「具なし」は伝統的な味でシンプルにしょうゆや辛子酢みそなどで食べます。

材料・分量

1 いぎす(小さくちぎる) 0.5g
2 生大豆粉 3.5g
3 にんじん(せん切り) 2g
4 ごぼう(せん切り) 2g
5 むきえび 10g
6 きくらげ(せん切り) 0.3g
7 枝豆むき身 3g
8 食塩 0.4g
9 砂糖(上白糖) 0.4g
10 うすくちしょうゆ 1g
11 黒ごま 0.3g
12 煮干し(だし用) 2.5g
13 35g
14 カップ(60ml のもの) 1個

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・いぎすは、水でもどした後何度も水をかえてよく洗いゴミを除いておく。
  • ・きくらげをもどしておく。
  • ・煮干しと水でだしをとる。

作り方

  • 煮干しでとっただし汁で、よく洗ったいぎすと生大豆粉を柔らかくな るまで煮て塩で調味する。
  • にんじん、ごぼう、むきえび、きくらげをだし汁で煮て、 砂糖、うすくちしょうゆで調味する。
  • 黒ごまを炒る。
  • 枝豆をゆで、むき身にする。
  • カップに具を入れ、1を注ぎ、えだまめを入れ黒ごまをふり固める。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑫⑬だし汁→①いぎす→②生大豆粉→⑧塩→③にんじん④ごぼう⑤むきえび⑥きくらげ→⑨⑩→⑪黒ごま→⑦枝豆

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 683kcal
たんぱく質 28.2g
脂質 18.2g
カルシウム 341mg
3.4mg
ビタミンA 413μgRE
ビタミンB1 0.63mg
ビタミンB2 0.55mg
ビタミンC 52mg
食物繊維 5.1g
食塩 2.6g
マグネシウム 119mg
亜鉛 2.7mg

献立例

  • ・ごはん
  • ・牛乳
  • ・せんざんき (とりのからあげ)
  • いぎす豆腐
  • ・おひたし
  • ・なすのみそ汁
  • ・冷凍みかん

放送資料

いぎす豆腐は、四国と本州を結ぶ「しまなみ海道」沿いの越智・今治地方で、8月のお盆や法事に欠かせないごちそうです。
7~8月に、浅海の岩や砂地に生える「いぎす」といわれる海藻と生の大豆粉をだし汁で煮溶かし、寒天のように固めています。食欲が出ない暑い夏にひんやりツルンとした舌触りと磯の香り、大豆の香りが親しまれている郷土料理です。

一口メモ

いぎすは、いばらのりのことで、澄み切った浅瀬の岩礁に生える。うっとうしい梅雨が明けると、女たちは、干底になるのを見計らって大きなざるを持って磯に降り、ひざまで水につかって、紅藻のいぎす草を根元から刈る。法事の予定のある家は、その分も入れて、今年使う量のいぎすを八月までにとる。
こうしてとったいぎすは、水にさらして干す。白っぽくするには、これを二度くりかえす。天日でからからに乾燥させて保存する。

参考資料

  • ・聞き書 愛媛の食事 「日本の食生活全集 愛媛」編集委員会
  • ・伊予の台所 直伝ふるさと料理 愛媛新聞伊予の台所取材班