概要・沿革

沿革

学校給⾷と(公社)全国学校栄養⼠協議会の沿⾰

昭和36年に設立された私どもの全国学校栄養士協議会は、充実した豊かな学校給食を教材として、すべての児童生徒に一定の食育を行うことができる「栄養教諭」制度の創設に向けて、努力をしてきた。

その間、学校給食における食中毒の発生や、食物アレルギー対応など、命に係わるいくつもの課題にぶつかりつつ、対策を講じ、研修・研鑽を積み、充実を図ってきた。ここに記した国の施策や法整備などの歴史的背景を踏まえて、本協議会は常に最前線の活動を行ってきた。
 :本会の取り組み)

本協議会は平成23年に設立50周年を迎え、平成24年から公益社団法人として新たなスタートをきって今日に至っている。平成16年に創設された栄養教諭制度は、現在、6700余名と、まだまだ十分な配置とは言えないものの、学校における食育の中核を担う職員として活躍している。本協議会は、食育推進講習会や都道府県代表者研修会を開催するなどして、会員はじめ全国で勤務している栄養教諭等の資質向上に資することを目的として、活動している。

沿革

年号 事項

学校給食の始まりと戦前の学校給食

明治22年(1889) 山形県鶴岡町の私立忠愛小学校で貧困児童を対象に無料で学校給食を実施。これが我が国の学校給食の始まりとされている。
明治34年(1901) 3月 学校生と身体検査等位決定内規の体格等の基準に「栄養」の文言が使用される。
広島県大草村義務奨励会による給食、秋田県高梨尋常高等小学校で貧困児童のための給食等を実施する。
明治44年(1911) 岡山県小田郡小田村学令児童保護会により給食実施。静岡県。岩手県下の一部で給食を実施する。
大正 3年(1914) 東京の私立栄養研究所(佐伯 博士設立)で、文部省の科学研究奨励金を受けて付近学校の児童に学校給食を実施する。
大正 8年(1919) 6月 東京府では私立栄養研究所佐伯所長の援助を受けて、管内小学校のパンによる学校給食を開始する。
大正12年(1923) 10月 発学73号をもって文部次官通牒「小学校児童の衛生に関する件」が発せられ、この中で、児童の栄養改善のための方法として学校給食が奨励される。
大正13年(1924) 文部省は震災後の学校給食状況調査を実施する。
大正15年(1926) 学校衛生技師会議の文部大臣諮問事項に対する答申に「学校給食ノ実施ヲ促スコト」とある。
昭和 3年(1928) 5月 文部省分課規定改正により、「学校衛生課」が「体育課」となる。
9月 文部省訓令第18号「学学校給食臨時施設方法」が定められ、初めて国庫補助によって貧困児童救済のための学校給食が実施される。
昭和13年(1938) 文部省所管学校体育事務に「学校給食其の他学校教育の内容タル学生、生徒・児童ノ養護ニ関スル事項」があげられる。
昭和15年(1940) 4月 文部省訓令第18号「学校給食奨励規定」で従来の貧困児童だけではなく栄養不良、身体虚弱児児童も対象に含めた栄養的な学校給食の実施が図られる。
昭和16年(1941) 1月 文部省分課規定の改正により学校給食は体育局衛生課の事務分掌となる。
昭和19年(1944) 1月 6大都市の小学校児童約200万人に対し、米、みそ等を特別配給して学校給食を実施する。

戦後の学校給食開始

昭和21年(1946) 1月 文部省体育局長通達「学校衛生刷新ニ関スル件」で学校農園等による給食施設の普及を奨励する。
12月 文部・厚生・農林三省次官通達「学校給食実施普及奨励について」が発せられ、戦後の新しい学校給食開始の方針定まる。同月、東京、神奈川、千葉の三都県で試験給食を実施する。
昭和22年(1947) 1月 全国都市の児童約300万人に対し学校給食が開始される。
4月 6.3制新学制が発足する。
同月、財団法人日本学校衛生会学校給食事業部発足、学校給食用物資を文部省に代わって取り扱うことになる。
昭和23年(1948) 7月 教育委員会発足する。
12月 文部省体育局長通達「学校給食物資の取扱いに関する暫定措置要領」により各都道府県教育委員会における物資受入態勢を指示、これが現在の都道府県学校給食会の起源につながる。
昭和24年(1949) 3月 保健体育審議会令制定、学校給食分科審議会が設けられる。
10月 ユニセフからミルクの寄贈を受けユニセフの給食が開始される。
昭和25年(1950)  5月 文部省管理局に学校給食課が設置される。
7月 8大都市の小学校児童に対し、米国寄贈の小麦粉により初めての完全給食が開始する。
8月 財団法人日本学校給食会が認可される。
10月 東京都で第1回全国学校給食研究協議大会が開催される。

完全給食が全国すべての小学校に広がる

昭和26年(1951)  2月 完全給食が全国市制地にも拡大実施され、27年4月に至り全国すべての小学校を対象に実施する。
6 月 給食用物資の財源であったガリオア資金が打ち切られ、国庫補助による学校給食の継続を要望する運動が全国的に展開される。
昭和27年(1952) 小麦粉に対する半額国庫補助制度が開始する。
日本学校給食会が脱脂粉乳の輸入業務を開始する。また、ユニセフ寄贈の脱脂粉乳の受入業務も実施する。
昭和28年(1953) 学校給食用小麦粉にビタミンB1・B2の強化を実施する。

「学校給食法」成立交付

昭和29年(1954) 6月 第19国会で、「学校給食法」が成立し、交付される。以後、同年中に学校給食法施行令、施行規則、実施基準等が定められ、学校給食の実施体制が整う。
昭和30年(1955) 8月 日本学校給食会法制定し交付され、10月に設立する。
昭和31年(1956) 3月 学校給食法の一部改正。同法が中学校にも適用され、準要保護児童に対する給食費補助が規定される。
6月 「夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律」交付される。
昭和32年(1957)  5月 「盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律」交付される。
6月 全国学校給食会連合会が発足する。

学校給食が小学校学習指導要領中の「学校行事」に位置付けられる

昭和33年(1958) 10月 文部省告示をもって新学習指導要領が定められ、学校給食は初めて学校行事の領域に位置付けられる。
11月 アジア極東給食セミナーが開催される。
昭和36年(1961)  へき地学校におけるミルク給食施設設備費及び夜間定時制高等学校や食費に対する補助制度が設けられる。
8月 学校給食制度調査会が、学校給食制度の改善について文部大臣に答申する。
11月 11月10日 全国学校栄養士協議会設立
12月 学校給食15周年記念式典大会が開催される。
昭和37年(1962) 4月 学校給食栄養所要量の基準が改訂される。
学校給食用小麦粉にビタミンAが強化される。
昭和38年(1963)  脱脂粉乳に対する国庫補助が実現し、ミルク給食の全面実施が推進される。同時にいわゆるミルク論争が起こる。
昭和39年(1964)  8月 「学校給食用牛乳供給事業の実施について」文部、農林両次官から通達。
学校給食共同調理場の施設並びに学校栄養職員の設置費の補助制度が設けられる。
昭和40年(1965)  特別措置によってへき地学校給食の推進が図られる。
昭和41年(1966)  単独校学校栄養士国庫補助制度が設けられる。
高度へき地学校の全児童に対し、全額国庫補助によりパン・ミルク無償給食が実施される。
昭和43年(1968)  4月 給食用小麦粉の漂白が禁止される。

小学校の学習指導要領中の「特別活動」に位置付けられる。

昭和43年(1968) 7月 小学校学習指導要領改正。学校給食は「特別活動」の「学級指導」 に位置付けられる。
昭和44年(1969)  4月 中学校学習指導要領改正。学校給食は「特別活動」の「学級指導」に位置付けられる。
学校給食共同調理場に栄養指導センター併設のため補助が計上される。
6月 学校給食振興期成会設立する。
昭和45年(1970) 2月 保健体育審議会から学校給食の改善充実方策について文部大臣に答申がなされる。
米利用実験指定校、米飯、米粉パ混入パン実験指定校、米加工品利用校により、学学校給食における米飯、米粉混入パン、米加工品の利用実験が開始される。
昭和46年(1971) 従来、食糧管理特別会計へ繰り入れとして予算計上されていた学校給食用小麦粉に対する補助金が、小麦粉購入補助金として計上され、以後、学校給食用小麦粉の取り扱いは日本学校給食会が行うこととなる。
4月 文部省告示第106号、第107号により学校給食基準、夜間学校給食実施基準が一部改正され、所要栄養量の改訂がなされた。これに伴い、「学校給食の食事内容について」体育局長通知により、標準食品構成表が示された。学校給食用物資の需給体制、品質管理体制等の改善強化を図るため、学校給食総合センター設置費を含む学校給食用物資の流通合理化促進に必要な経費が予算計上される。
昭和47年(1972) 4月 沖縄の本土復帰に伴い学校給食関係予算に沖縄分が計上される。
学校給食の老朽施設設備の改善更新補助が計上される。
昭和48年(1973) 学校給食用小麦粉補助金は、安定供給を図るために要する経費という新たな発想のもとに、学校給食用小麦粉供給事業費補助金として予算計上される。
学校給食の改善充実のための研究指定校が指定され、研究を開始する。
日本学校給食会の学校給食研修施設(杉並区阿佐ヶ谷)を開設する。

学校栄養職員の人件費が国庫負担となる(国1/2 県1/2)

昭和49年(1974) 6月 新国庫負担法成立。学校栄養職員が制度切り替えにより県費負担職員となる。
日本学校給食会の学校給食研修施設に食品検査室整備される。
9月 全国学校栄養士協議会が社団法人としてスタートする。
昭和50年(1975) 学校給食用物資安定供給対策特別事業費の予算補助金が計上される。
12月 保健体育審議会の学校給食分科審議会は、米飯の導入について教育上有意義であるとの結論をまとめた。
昭和51年(1976)  4月 学校給食制度上に米飯給食が正式に位置付けられる。
  7月 ハワイホノルル市で学校給食国際セミナーが開催される。
  12月 学校給食30周年記念大会が開催される。
昭和52年(1977)   学校給食促進対策事業費が、食糧庁から日本学校給食会を通じ委託炊飯を実施する学校給食パン工場に助成されることになる。
小学校及び中学校の学習指導要領が改正される。
昭和54年(1979)  学校給食用米国の値引き率は、消費者米価の60%値引きに改められ、また、一定の要件を満たすものに対しては、特別措置として70%の値引きが行われる。
昭和55年 (1980) 2月 日本学校健康会法案が閣議決定される。
昭和56年(1981) 5月 日本学校健康会法案が第94回国会衆議院本会議で可決される。
7月 臨時行政調査会から第1次答申が出され、学校給食業務の合理化について指摘が行われる。
昭和57年(1982) 6月 日本学校健康会法が公布・施行される。
7月 日本学校健康会が設立する。
昭和58年(1983)  3月 臨時行政調査会から学校給食の業務の合理化並びに国の助成措置の見直し等について最終答申が出される。
昭和59年(1984)  9月 学校給食法制定30周年記念大会が開催される。
総務庁より学校給食関係業務の簡素合理化についての勧告がなされる。
昭和60年(1985) 1月 体育局長通知「学校給食業務の運営の合理化について」がだされる。
12月 日本体育・学校健康センター法が公布される。
昭和61年(1986) 1月 保健体育審議会から文部大臣に対し、「学校給食の食事内容の改善について」及び「学校栄養職員の職務内容について」の答申が出される。
2月 文部省告示第16号・第17号により、学校給食実施基準及び夜間学校給食の実施基準が一部改正され、平均栄養所要量の基準の改訂が行われる。
3月 日本体育・学校健康センターが設立される。

「学校栄養職員の職務内容について」文部省よりを通知

昭和61年(1986) 3月 文部省体育局長が「学校栄養職員の職務内容について」を通知する。
4月 臨時教育審議会から内閣総理大臣に対し、「学校給食を通じて家庭の教育力の活性化を図る。」旨の内容を含む第2次答申が出される。
6月 臨時行政改革審議会から最終答申が出され、臨時行政調査会の答申の方向に沿い、さらに学校給食の合理化等を推進すべきことが指摘される。
昭和62年(1987)  学校給食米飯導入促進事業において米飯成型機(おにぎり機械)への助成が開始される。
昭和63年(1988) 児童生徒の減少により生じる余剰教室を、ランチルームに回収する事業への補助金が計上される。

文部省において学校健康教育課発足

昭和63年(1988) 7月 文部省の機構改革により学校給食課と学校保健課が統合され、学校健康教育課が発足する。
体育局長から、「健康教育の推進と学校健康教育課の設置について」が通知される。
平成 元年(1989) 4月 小学校及び中学校の学習指導要領が改正される。
学校給食100周年
平成 8年(1996) 学校給食において腸管出血性大腸菌0157による食中毒が大阪府堺市を中心に大量に発生し、死亡者が5名になり社会問題までに発展する。
平成 9年(1997)  4月 文部科学省から食中毒防止の徹底を図る目的から、「学校給食の衛生管理の基準」が発刊され、全国の学校給食関係者及び施設に配布される。

学校栄養職員の「特別非常勤制度」発足

平成10年(1998) 4月 心を育む学校給食週間の実施
7月 食に関する指導の充実が図られるようにと、文部科学省が学校栄養職員の特別非常勤講師制度の適用を通知する。
9月 栄養教諭制度実現のための自主研修開始(後の食育推進講習会)
平成10~16年 食に関する指導体制の整備についての審議会協力者会議開催される。(文部省)
平成15年(2003) 10月 日本スポーツ振興センター法が公布され、これまでの特殊法人日本体育・健康センターから、「独立行政法人日本スポーツ振興センター」と名称が変更される。
平成16年(2004) 4月 文部科学省が栄養基準を改定する。
文部科学省が「学学校給食衛生管理の基準」を改定する。

「栄養教諭」制度の創設

                       
平成16年(2004) 1月 中央教育審議会の答申(第2章 栄養教諭制度の創設)出される。
5月 議院と参議院両院とも栄養教諭関係法案が可決される。
栄養教諭制度の創設を柱とする学校教育法の一部改正が公布される。
平成17年(2005) 3月 学校給食衛生管理の基準の一部が改正される。
4月栄養教諭が誕生する。
北海道11名、福井県10名、大阪府9名、高知県5名、国立大学法人1名
免許法認定講習会が夏休みを中心に各都道府県において開始される。

学校における食育推進の中核を担う栄養教諭として

平成17年(2005) 6月 食育基本法が制定される。
平成18年(2006) 食育推進基本計画が策定される。
平成19年 (2007) 3月 「食に関する指導の手引き」が刊行される。
平成20年(2008) 3月 「小学校学習指導要領」「中学校学習指導要領」が改訂され、総則に「食育の推進」に関する規定が盛り込まれる。
6月 学校給食法が大改正される。
7月 学校給食衛生管理の基準の一部が改訂される。
10月 学校給食実施基準「夜間学校給食実施基準」が一部改訂される。「義務教育諸学校及び夜間課程を置く高等学校における学校給食の児童又は生徒一人1回当たりの学校給食摂取基準」「特別支援学校の幼児一人1回当たりの学校給食摂取基準」
文部科学省「郷土料理等を活用した情報化推進事業」を受託する。2冊の刊行物を刊行する
・郷土食「学校給食から伝えていきたい日本の味」
・郷土料理を活用した指導事例集「学校給食から広げる食育」
平成21年(2009) 3月 「高等学校学習指導要領」が改訂され、総則に「食育の推進」に関する規定が盛り込まれる。
4月 学校給食法の一部改正が施行される。
法改正に伴い、学校給食実施基準」及び「学校給食衛生管理の基準」等が告示される。
文部科学省委託事業による2冊の刊行物を刊行する。
・伝えたい行事食~学校給食に生かして~
・地場産物を生かした指導事例集~地場産物は郷土の気候風土からの贈り物~  
平成22年(2010) 3月 食に関する指導の手引き(第1次改訂版)が作成される。
平成23年(2011) 10月 10月26日 公益社団法人への移行申請
平成23年(2011) 3月 文部科学省は東日本大震災に際し、各都道府県・指定都市教育委員会に対し、学校給食施設を活用した炊き出しへの協力要請を行った。被災地において、学校給食施設を活用した炊き出しが行われる。
3月31日 第2次食育推進基本計画が策定される。
4月 小学校学習指導要領が完全実施される。
11月24日 全国学校栄養士協議会設立50周年記念式典挙行
中学生の食生活実態調査実施(栄養改善学会発表)

公益社団法人としてスタート

平成24年(2014) 3月 3月21日 公益社団法人の認可(平成24年4月1日より、公益社団法人となる)
4月 中学校学習指導要領が完全実施される。
「児童手当法の一部改正に関する法律」が施行され、受給資格者の申し出により児童手当等から学校給食費等の徴収が可能となる。
災害時学校給食用非常食開発に着手
平成25年(2013) 1月 「学校給食実施基準」「夜間学校給食実施基準」「特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食実施基準」の一部が改正される。
12月 文部科学省及び農林水産省から「第2次食育推進基本計画における学校給食関係の目標値の一部改訂等について」が追加される。
今後の学校における食育の在りに関する有識者会議から「今後の学校における食育の在り方について」が最終報告される。
災害時学校給食用非常食「救給カレー」誕生(その後、救給コーンポタージュ・救給根菜汁・救給五目ごはんを開発)
平成26年(2014) 3月 学校における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議から「今後の学校給食における食物アレルギー対応について」が最終報告される。
9月 文部科学大臣の指名により、「栄養教諭免許状更新講習会」を開催する。(以後、継続実施)
平成27年(2015) 3月 文部科学省から「学校給食における食物アレルギー対応指針」が配布される。
平成28年(2016) 4月 第3次食育推進基本計画が策定される。
平成29年(2017)  3月 栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育」が作成される。
小学校学習指導要領」「中学校学習指導要領」が改訂される。
平成30年(2018)  7月 7月31日 「学校給食実施基準」の一部改正が告示され、8月1日より施行される。
エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して、「食育推進講習会キャリアコース」を開講する。(以後、継続実施)
平成31年(2019) 3月 食に関する指導の手引き第2次改訂版が文部科学省より出される。
令和3年(2021) 3月 第4次食育推進基本計画策定される。
参考文献
・日本学校保健会80年史への本会寄稿文(神山久夫)
・学校給食必携第8次改訂版(ぎょうせい)
・四訂 栄養教諭論(金田雅代編著)

協議会紹介